時の輪 2 [ ヒプノシスマイク］ (ページ4)

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いやらしい水音が部屋に響き、ようやく唇が離れる。肩で息をするAを他所に、左馬刻は己の唇を舐め、余裕のある笑みを浮かべている。

「どうだ?ちょっとは甘く感じただろ。」
「 .. このど変態が。」
「薬も飲めねえお子様に言われたくねえな。」
「怠くて起き上がりたくなかっただけですよ .. 、」

もう反論するのも面倒くさい。ていうか口移しで薬飲ませるとか今時少女漫画でも見ねえぞ。しかもガン見とか。せめて目閉じてくんない?まあ元々歩く18 禁みたいな感じの人だったけど、案の定か。

「 .. もう帰ってくれて良いですよ。」
「可愛くねえ奴、」

いやそういう事ではなく。貴方が居ると視線が気になって寝られないから帰れって言ってんだよ。

Aは左馬刻に背を向けて寝転がる。暫くして、やっとうとうとしてきた頃に「.. なあ、」と声をかけられ、Aはキレ気味に「.. 何ですか。」と返す。

「御前、合歓がどうしてるか知ってる? 」
「 .. 、」

またしても出てきた“合歓”という人物に、女は小さくため息をつく。「.. 皆してそればっかり .. 、」と目を擦っている。

「入間さんにも言いましたけど、誰かも分からないのに私が知る訳無いじゃないですか。」
「じゃあ何で御前、俺と同じブレスレット持ってんだよ。」

一瞬黙ったAに、左馬刻はたたみかける様に「あれは、俺が合歓にあげたのと全く同じ物だった。」と話す。
それにしても何故知っている、と女は頭の中で考える。そういえば朝不自然な時間に左馬刻が店内に居たのを思い出す。そうか、あの時に。

「偶々被っただけなんじゃないですか～?もう何つまんない事言ってんですか。」
「 .. 御前な、」
「いい加減寝かせて下さい。頭割れそうなんですよ .. 」

呆れた様に呟いた数秒後、もう小さく寝息が聞こえてきた。相当しんどかったのだろう。

左馬刻はベッドの背に凭れ掛かり下を向く。何度手を伸ばしても掴めない女に、左馬刻は顔を顰める。暫くした後、「.. これは俺の独り言だ。」と話し始める。

「合歓は .. 、御前の事恨んでなんかいねえよ。だからもう、自分自身の事許しても良いんじゃねえか。」

静かな室内に小さな独り言が響く。それでも聞こえてくる寝息に、左馬刻は「.. まあ寝てる奴に言っても無駄か。」と苦笑いする。

左馬刻は立ち上がると「じゃあな、眠り姫。」と額にキスをし、静かに部屋を出ていった。

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