肆話 ページ6
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うとうとしてると太宰治が何かのドアを開けた気がした。
そして誰かが私の頬をペチペチ叩く。
「んー…」
「ほら、起きて」
「うにゃー?」
変な声を出しながら目を開けるとパチッと目が覚めてしまった。
目の前にいる──森鴎外の姿。誰しも彼の姿を見ればシュッとしてしまうわな。
太宰治が下ろすよ、と言って私を床に下ろそうとする。
うぎゃー!待って待ってー!!と思っても遅い。
プキュ〜〜〜〜〜ュ
と本当に本当の間抜けな音がだだっ広い部屋に響いた。
なんか後ろからブフッて声が聞こえたから気がしたんだけど。太宰治ですか。
「初めまして」
「初め、ましゅて」
くっそマジ恨むこの舌足らずな舌。
本当恥ずかしい。
森さんは校長室にある校長先生が使う机に座って私を観察する。
「名前は?」
「わかんにゃいです」
「名前、年齢、家族構成、親の顔、は本人は分からないそうです」
「そうか…」
後ろでキリッとした中原中也の声が聞こえた。何だかんだで太宰治の質問は聞いてたのね。
「所で…君は何故お面をつけているのかな?」
「……わかんにゃいです」
なんかいつの間にか着いてて取ろうと思ったら静電気が来るんですもん。
ピリピリッて。痛いんだもん!!
「そうか…」
うーんと悩む森さん。
ごめんなさい森さん。私なんだか眠気がやって来ました。
ウトウトしてます。首が座りません。
目が閉じて意識が遠退く前に見えたのは夜明けを知らせる朝日のみであった──。
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作者名:拳銃 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年7月12日 23時