Rain-1 (ページ6)

今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:53,899 hit

失恋の痛み side YOU ページ6

白いシャツを着た彼が目の前に立っていた。

ふと顔を上げてその姿を確認すると目が合った。

D「どうして、泣いていますか」

突然話しかけられてびっくりした私は、うまく返事もできずにいると、

D「とってもつらそうですね」

と、彼も悲しそうな顔をして聞いてきた。

そのとき、ハッとした。
さっきの出来事で頭がフリーズしていることに加え、こんな姿を見れらた事の恥ずかしさに

A「す…すいません。なんでもないん…です」

と、彼が声を掛けてくれた優しさに無理矢理の笑顔を作って走って駅の方向へ向かった。

駅に続く道を曲がり、歩みを止めた。

どうしよう。私びしょびしょだし、電車乗れないや…

未だに降り続いていた雨に打たれながら、歩いて帰る事にした。

女が1人、雨に濡れて歩いている姿をすれ違う人は白い目で見てくる。

私は足早に家まで向かいながら、先程振られた彼との思い出を思い返していた。

確かなものなんてなかったけど、私は大好きだったし、一緒に居られる時間は幸せだった。彼もそうだったんだと信じたい。

この雨で彼への想いを流してしまえたら、なんて考えていたら家に着いた。

びしょびしょになった服を脱ぎ捨て、タオルを頭にかけソファーにそのまま倒れるように横になった。

A「寒っっ…クシュンっっ」

その辺にあったブランケットを掛け、ソファーに丸まって、いつの間にか眠っていた。

ピピピピピピピピピピ

携帯のアラームが朝を知らせている。

A「うーん…だるい…」

起きようとしても体が動かなかった。体がだるく、喉も痛い。

A「風邪ひいたなー…仕事休むしかない？か…」

失恋したあげく、風邪をひいて仕事を休む事になるなんて、何やってるんだと自分が嫌になる。

先輩に連絡をいれ、休む事を伝えた。
幸い、今日はそんなに大きな仕事は入ってなかったはず。

私はスタイリストをしている。それなりに評価してもらえたりして、楽しく仕事ができている。

そんな私を見ていてくれた先輩は、最近はがんばってたし、ゆっくり休んで体調を治して来なさい。
と優しい言葉をかけてくれた。

先輩との電話を切り、目を閉じるとすぐに眠りについていた。

一台の車が私の前に止まる。

と、窓が開くと真っ白なシャツを着た彼がこちらを見て笑っている。

雨が降っているのに、まるで太陽のような笑顔をこちらに向けている。

D「おいでよ！」

そこで目が覚めた。