第47.5話 第三章(杏子side) ページ49
あたしはキュウベえとの話が終わった後、すぐさま見滝原に向かった。そして、マミとル―キーだと思われるやつらを見つけ、あたしはそいつらを全員殺す覚悟で攻撃を仕掛けた。なのに…。
「どうして……あんたがいる……?」
あいつが、来ちまった。
「A…」
「Aさん…」
やめて。来ないで。覚悟が揺らいちゃうじゃん…。あんたを見てると、昔の、楽しかった頃の記憶が蘇ってくる。でも、あたしはそれを誤魔化すように、気づかないふりをして、
「今さらなに?」
そう問いかけた。
目が覚めた時には、懐かしい場所にいた。
「ここは…」
辺りを見渡してみると、そこには懐かしいものが置いてあった。
「…これ…」
そこには昔、あたしがUFOキャッチャーで取ってやったぬいぐるみが置いてあった。
「…はは」
乾いた笑みがこぼれた。そう…だよな…。きっと本当はわかってたんだ…。あのお人好しの巴マミがあたしの家族を殺すわけないって…。その証拠にこれだ。普通はそんな嫌いなやつとの思い出のものなんて飾らない。ということはやっぱりマミは…。
「無実…」
そう分かりきっていることを口にした。
マミ同様、あいつも…Aも変わっていなかった。よく笑顔で、話しているとこっちの調子が狂って、疲れる。でも、あたしはその日常が、会話が好きだった。楽しかった。そして、何より、真っ直ぐだった。
『全員が納得する結果にしよう?』
全員が納得する結果、か…。そんな都合のいい結果、あるのかなぁ?
あたしの話が終わり、キュウベえが出てきた。全く気が付かなかった。
「質問にYesかNoで答えなさい」
冷たい目で、冷たくそう言い放った。あの時のことが脳裏に浮かぶ。
『夜の教会の人の目に気をつけてね』
あの時のように声を低くして、寒気がしたからだろうか。…ただ、あの時と違って物凄く、冷酷な目と声をしていた。何故か昔から、Aとキュウベえの仲はまさに”水と油”だ。まあ、一方的にAが嫌っている気もする。
「…チッ」
沈黙が続いた後、普段のAでは想像がつかないが、舌打ちをし、変身を解いた。そして、キュウベえが去って行ったあと、いつも通りの雰囲気に戻ったAは呑気に紅茶を飲んでいた。
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こんにちは。最近投稿頻度が落ちていてすみません。
でも、このペースで今のところはいこうと思います。
そして、第三章はここで終わろうと思います。ここまで読んで頂きありがとうございました。
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作者名:ねこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/rinnsatuki/?fp=
作成日時:2023年4月1日 18時