ハッピーエンドは遠い先 (ページ40)

今日:3 hit、昨日:15 hit、合計:5,050 hit

第39話　何も知らないくせにページ40

「……そんな約束、した覚えないね」
「そっか」
嘘だ。杏子の悪い癖が出ている。本当は優しい性格をしているのに、悪役のように振る舞うところ。そんな杏子が約束を忘れるなんて有り得ない。そして、黙って杏子は部屋から出て行こうとする。
「！
待って！」
「何？」
すごい睨んでる…。怯むな私！
「どこに行くつもり？」
「どこだっていいじゃん」
「やだ。まだ話終わってない！」
「はあ？」
と杏子は理解できないとでも言いたげな顔をする。
「杏子がどうして、こんな行動をしたのかまだ聞けてない！」
「理由なんてどうだっていいじゃん」
「よくないから聞いてるの！杏子ほんとは優しいから、よっぽどのことじゃないとこんなことしない！」
私は子供のように駄々を捏ねる。…まあ子供だけど。
「っ！うるさいっ！うるさいっ！うるさいっ！うるさいっ！うるさいっ！」
「！？」
急に杏子が取り乱し始めた。
「あたしの気持ちを知ったように言うな！何も知らないくせに！」
「…確かに、私には杏子の気持ちはわからない。だって私は杏子じゃないもん。私が知っているのはあの後、杏子とマミさんに何があったのかという出来事だけ」
「…あんたがいなくなった後の事かい…？」
「うん。杏子に起きた悲劇と、二人が別れたことなら知ってるよ」
「なんで…あんたは…知らないはずだろ…？」
「だから知ってるって言ってるじゃん…」
と私は苦笑いをしながらそう言う。そんな私に対して、杏子はさっきから困惑している。否、杏子だけではない。この場にいる私以外全員だ。マミは杏子と同様の理由で、まどか(仮)たちなんて、過去を知らないからわかるわけがない。いや、ほむらは知ってるのかな？
「なんで知ってるんだよ…」
「…さっきから、杏子ばかり質問してていいなぁ。少しは私の質問にも答えてよ。そしたらその質問には答えてあげれるかも」
「…あっそ」
おい！どさくさに紛れてまた部屋から出て行こうとするな！
「待って！」
私の代わりにマミが杏子に声を上げる。
「話はまだ終わってないよ！」
私もマミに加わる。
「あんた達が終わってなくても、こっちはもう終わった！」
「ちょっと…待ちなさいよ！！あんたさっきから勝手すぎない！？」
なんと私達だけでなく、さやか(仮)も声を上げた。
「あんたには関係ないでしょ？」
「ある！マミさんの後輩だ！」
「はあ？それだけ？」
杏子とさやか(仮)が口喧嘩を初めてしまった。