ハッピーエンドは遠い先 (ページ36)

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第35話　成立しない会話ページ36

「はぁ、はぁ」
・・・疲れてきた。でも、そんな私に比べて、杏子はまだ息を切らしていない。まだまだ余裕そうだ。これが経験の差かぁ。
「もう疲れたのかい？」
「うん。疲れちゃった」
「じゃあ、早くこの戦いから降りてくれないかなぁ？鬱陶しいんだけど？」
そう提案してくるが私はきっぱりと
「お断りします」
そう答えた。
「あっそ」
そう言い、杏子はまた槍を私に向けてきた。だがわたしは、魔法を駆使してそれを受け流す。
「動き、鈍くなってきたねぇ」
「はは、事実だから何も言えないね」
動きが鈍くなっていっていることは自分でもわかっている。だけど、私と杏子、どっちの方が体力があるかと言ったら、それは杏子だろう。今まさにそれが証明されている。
「っ！」
槍が分裂？した。槍がこのようになるのは事前の知識で知っていた。だけど、私は今、それを飛んで回避してしまった。それに何の問題があるのか。＿＿仮に分裂した槍が今、元に戻ったら、私は空中にいるから避けられない。躱せない。つまりその先にあるのは”死”。まあ、普通はそうなるけど、私達には関係ない。ソウルジェムさえ無事なら問題はない。だが、それを杏子は知らない。要は杏子はソウルジェムが”命”ということを知らないから、今私に攻撃をすれば私を殺せる、そう思うということ。どっちみち、痛覚は存在しているから嫌だけどね。
「__え？」
そんなことを考えているうちに、私は地に足がついていた。なんで？どうして、殺さなかったの？今、私を攻撃すれば邪魔な私を殺せたのに・・・。
「ボーっとしてていいのかい？」
「！」
あっぶないなぁ！魔法で壁を作らなければ当たっていた。こうなったら、私は氷の剣を作って対抗してやる！剣道とかやったことないけど・・・。
「へえ」
興味深そうに杏子がそう零した。だが、それも一瞬のことで杏子は私に牙を向いてくる。だが私はそれを氷剣で受け流し、逆に返す。
「！
まさか、返されるとは思っていなかったよ」
「驚いた～？」
「少し」
「ありがとう～」
もはや会話が成立していない気がする会話だ。
「・・・まだ元気があるようで」
「元気～？どうだろ？自分でもわかんないや」
そんな会話を交わしながら、杏子の槍と私の氷剣が激突する。
「なかなか、しぶとい剣だな」
「まあまあ強度強めに作ったからね」
「あっそ」
さっきから冷たい返事しか返ってこないなぁ。