第21話:魔力格差 ページ23
絨毯が引かれた廊下を抜けていくと、やがてずらりと扉が並んだ空間にたどり着く。その扉と扉の間隔はそんなに開いていない。
その中の一つの扉を指差して、アイリスが声を上げた。
「108号室……あっ、あったよ!あれが私の部屋だわ。」
さっき受け取った鍵に書かれていた番号と、扉に書かれた番号を見比べて満足げに笑う。アイリスに許可をもらって私もその部屋に入れてもらった。
中に入って驚いた。その部屋はこじんまりとしていて、人1人がやっと寝れる大きさの簡易なベッドと粗末な勉強机、本が20冊も入らないような本棚、開けると軋む音がするクローゼットが部屋の空間を埋めるように配置されていて、自由に動ける空間は狭い通路のように細かった。
これじゃあベッドの上以外くつろげる場所がない。十数人いる、私の家のメイドの部屋よりも何倍も小さかった。
よくアイリスの家に遊びに行っていたが、彼女の部屋は可愛い装飾が施された女の子らしい部屋で、家具もベッドもピカピカの新品のようだった。
こんな部屋、私もアイリスも初めて見たと思う。
「ほらオリヴィア、何ぼさっとしてるの? 次はあなたの荷物を起きに行かなきゃ!」
それなのにアイリスは嫌な顔一つせず、いつものふにゃりとした笑顔を浮かべて私の手を引いた。
真鍮の手すりが付いた階段を上がって、上へ上へと登る。私の鍵に書かれた数字は1518で、階段を登ってみると15階が最上階であった。廊下は一階とは比べ物にならないくらい豪華な装飾が施されていて、扉と扉の間隔はかなり開いていた。
その様子に、部屋の中の様子が安易に想像できたが私もアイリスも何も言わず、鍵番号と同じ扉を探した。やっと探し当てて扉を開ける。
中に入って先ほどと違う意味で驚いた。アイリスに割り当てられた部屋と比べ物にならないくらい広く、家具も内装も綺麗な装飾が施された部屋はお屋敷である私の部屋と比べても遜色ないものだった。
「っ、……こんなの、酷いよ。」
どさりと荷物が手からすり抜ける。あまりの待遇の違いに声が出なかった。
やっとの事で絞り出した声は掠れていて、アイリスに不安げな瞳で見つめられる。
そんな彼女を安心させてあげるように笑えもせず、夕食の時間が迫っていたため、ただ荷物をそのままに部屋を飛び出した。
部屋を出た瞬間にレオンと出くわして、彼が何かを喚いていたが相手することなく階段を駆け下りた。
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えるふぃ(プロフ) - ゆいな♪さん» ゆいな♪さん、ストーリーをお褒め頂きありがとうございます(*´ω`*) 描写頑張った甲斐があります!これからもっともっと引き込んで行けるように頑張りますね!応援ありがとうございます! (2019年8月24日 23時) (レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな♪(プロフ) - あわわ、す、すごいです!ストーリも分かりやすいので、凄い引き込まれます!更新頑張ってください! (2019年8月16日 13時) (レス) id: 0214723abe (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - ぽむぽむぽあろさん» ぽむぽむぽあろさん、ありがとうございます!そんな風に褒めてくださって嬉しいです!読み手に情景が伝わるように書くのが目標だったので(*´ω`*) 夏休みに入ったら更新速度上げられるように頑張ります!応援ありがとうございます! (2019年7月30日 22時) (レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむぽむぽあろ(プロフ) - 設定がしっかりしてるので、お話の内容がアニメーションになって頭の中に浮かびます。とても面白くて好きです。もっと伸びてておかしくないと思うので更新頑張ってください! (2019年7月30日 12時) (レス) id: b97deb3170 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - ちょこころねさん» ちょこころねさん、はじめまして!世界観とキャラの設定は一番力を入れたところなので、そこを褒められるとめっちゃ嬉しいです!文章長いのに一気読み、おつかれさまです!ちょこちょこ更新するのでよろしくお願いします! (2019年1月18日 10時) (レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えるふぃ | 作成日時:2018年9月23日 21時