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第20話:そりの合わない人 ページ22

前に立ちふさがるレオンが邪魔で、予想外のことで疲れている今日は構いたくなくてそれに背を向けて帰ろうとすると、すっと人影が進み出てきて四方を囲まれる。


「……私、疲れてんの。用事あるなら明日にしてよね。」


囲んでくる四人の顔をぐるりと見渡してから、身体をレオンの方に向けてため息混じりに言葉を発する。

私の身長はこのクラスの誰よりも小さいので、周りからは様子がおかしいことは分かっても誰が絡まれているかなんて分からないだろう。


「ふざけるなっ! ……今日の入学式、あそこに立つのは俺のはずだったのに。俺が一番魔力が多いはずだったのに。」

「あー、なんて言ったらいいか……。」


レオンは教室中に響き渡るくらい大きな声で叫び、その後冷静になったように声のトーンを下げた。彼の顔は悔しそうに歪められていて、彼が自分の魔力量に自信を持っていたのだということがありありと伝わってきた。

今にも泣き出しそうな彼の様子にルーファスの顔が重なって、私は自分が悪いわけでもないのに申し訳なくなり、なんて慰さめてあげればいいんだろうと考えていたら。


「ったく、本当は今頃このクラスの凡愚な奴らを魔力量が一番多いって事実で支配してるとこだったのによ。」


一瞬でレオンはがらりと表情を変え、全ての人間が自分の格下だとでも思っているような顔をした。その態度に、私が持ちかけていた同情も引っ込んだ。

つまりこいつは私がいるせいで、自分の魔力量をみんなに知らしめる機会が消え、そのためにみんなを支配できずにいるのが悔しいってわけだ。つくづくこいつとはそりが合わない。


「魔力量だけで人の価値を決めるのよくないよ。それともキミは魔力だけしか自慢できるとこがないの?」


ぐっとレオンが声を詰まらせる。図星を突かれたのかそれとも怒りで言葉が出てこないのかどちらなのかは分からないが、彼やまだ教室に残っていて、私は彼と同じ考えを持つ人たちに向けて話す。


「所詮生まれ持った魔力なんて自分の努力で得たものじゃないでしょ?自慢するなら魔法の出来とかにしなよ。」


押し黙る彼とその取り巻きたちを押し退け、私はひやひやと様子を見守っていてくれたアイリスの手を引いて寮へと向かった。

学園の寮はとても広く、外装だけでなく内装までもお城のようだった。私たち初等部がこれから過ごす棟は入り口から見て左のほうで、棟を仕切る場所で受付を済ませて自分の部屋の鍵をもらった。

第21話:魔力格差→←第19話:授業方針



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えるふぃ(プロフ) - ゆいな♪さん» ゆいな♪さん、ストーリーをお褒め頂きありがとうございます(*´ω`*) 描写頑張った甲斐があります!これからもっともっと引き込んで行けるように頑張りますね!応援ありがとうございます! (2019年8月24日 23時) (レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな♪(プロフ) - あわわ、す、すごいです!ストーリも分かりやすいので、凄い引き込まれます!更新頑張ってください! (2019年8月16日 13時) (レス) id: 0214723abe (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - ぽむぽむぽあろさん» ぽむぽむぽあろさん、ありがとうございます!そんな風に褒めてくださって嬉しいです!読み手に情景が伝わるように書くのが目標だったので(*´ω`*) 夏休みに入ったら更新速度上げられるように頑張ります!応援ありがとうございます! (2019年7月30日 22時) (レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむぽむぽあろ(プロフ) - 設定がしっかりしてるので、お話の内容がアニメーションになって頭の中に浮かびます。とても面白くて好きです。もっと伸びてておかしくないと思うので更新頑張ってください! (2019年7月30日 12時) (レス) id: b97deb3170 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - ちょこころねさん» ちょこころねさん、はじめまして!世界観とキャラの設定は一番力を入れたところなので、そこを褒められるとめっちゃ嬉しいです!文章長いのに一気読み、おつかれさまです!ちょこちょこ更新するのでよろしくお願いします! (2019年1月18日 10時) (レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えるふぃ | 作成日時:2018年9月23日 21時

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