【魔法と学園モノ】〜理不尽な世界でも君と笑いたい〜

第16話：魔法学校 ページ18

自分が世界を変えてやる、なんておっきな決意表明をした後、ルーファスに飲み物やパンを持たせてから窓を出入り口としてつかい、かれを家まで送り届けた。

私の場合は魔力(シャルム)があるから箒で二階まで楽々飛べるけど、身一つで二階まで登ってきた彼は本当にすごいと思う。

部屋に戻って人避けの魔法(マジー)を解く。もう夜も遅いので寝る支度をしベッドに入る。


「そういえば……なんで誰も騒がなかったのかな。」


寝ようと目を閉じた時、ふとそんな疑問が頭に浮かんだ。

ルーファスを部屋に招き入れてからは人避けの魔法を使ったものの、その前の段階で魔力をもっているお父さんやお母さんに侵入者がいることを気付かれていてもおかしくない。だというのに魔法を解除した後でも誰も部屋に訪ねてこない。まるでこの家には怪しい奴はやってこなかったと知っていたかのように。


「まさか……お父さんに限ってそんなこと。」


一瞬、ある可能性が頭をよぎったがそれを振り払ってさっさと眠りについた。



翌日は朝から大忙しだった。新しい魔法学校の制服に袖を通した後、メイドさんが髪を結ったり飾りをつけたりと私にお洒落を施し、朝食を食べた後は今日の日のために用意して置いたケースを持って両親と別れの挨拶を済ませて、車に乗り込んだりと、いつもとは違う１日の始まりに少し戸惑う。

２時間ほど車に揺られてやってきたのは、多くの魔力保持者(サージュ)が集まる大都市部。色々なものが買える店が合体した建物や防音魔法を施したアトラクション施設など、さまざまな娯楽が体感できる場所。

そんな都市の中心に、小国並みの敷地面積を持つ魔法学校が建っていた。外観は洋風で、豪華な装飾が施された門を抜けると色とりどりの花が植えてある花壇があったり、噴水があったりして学校というより一国の王が住む城のように見えた。

私と同じ新入生らしき子供たちも不安が入り混じったような表情で辺りを見渡している。


新入生を担当する先生たちが私たちを先導してくれるのに着いて行きながら学校を観察したが、とにかく広いことしか分からなかった。

子供用の小さな机と椅子が30個ほど置いてある教室に案内され、机の右上に書かれた名前に従って席に着く。


「あっ、オリヴィアだ！ 一緒のクラスだねぇ！」


教卓の真ん前の自分の席に座っていると後ろから声がかかる。振り向くとそこにいたのは私と違う制服を着たアイリスだった。

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