【魔法と学園モノ】〜理不尽な世界でも君と笑いたい〜

第15話：決意表明 ページ17

それからあっという間に時間が過ぎ、ついに明日は魔法学校の入学式。その間の時間を買った呪文集に目を通したり、お母さんに教えてもらいながら空を飛ぶための練習をしたりして過ごしていた。

今日も同じように時間を潰し自室のソファーに腰掛けて本を読んでいると、コンコンと控えめにノックされる音がした。こんな時間に誰だろうとドアを少し開けて廊下を覗いてみたが、そこには誰もいない。

不思議に思って部屋の中に目をやると、カーテンで塞がれた大きな窓が目に写った。自分でも馬鹿らしいと思ったが、一応カーテンを開け、窓の外を覗く。

すると信じられないことにそこには人影があって、私を襲いにきた侵入者か何かかと思って身構えた。


「っ、ルーファス！？どうしてここに！」


しかしその人影は今までずっと会いたくても会えなかった親友の姿で、私は急いで窓を開け、彼を中に招き入れた。そしてそれと同時にこの部屋に人避けの魔法(マジー)をかける。

ルーファスは最後に見た時よりもだいぶ痩せこけ、顔色も悪いようだった。服もシワが寄っていて何日も着替えていないのか汚れが目立った。

そんな彼についさっきメイドが持ってきてくれたお茶を出し、ソファーに腰掛けてもらう。


「オリヴィアが俺の家に来てたこと知ってたから、挨拶だけでもしておきたくて。」


彼から聞いた話によると、今までずっと部屋に閉じ込められていて、ご飯もあんまりもらえていないらしかった。今日も同じく閉じ込められていたが、明日には私が遠くの魔法学校に入学することを知って無理やり抜け出してきたのだそう。

彼はやつれた顔で笑い、早く行かないと見つかってしまうからと立ち上がった。


「っ、待ってルーファス！ 私、君に聞いてほしいことがあるんだ！」


久しぶりに会えた親友ともっと長く話したくて、引き止める。そして彼に自分の魔力(シャルム)のこと、私の決心を話した。


「私、絶対に世界のトップに立って、この世界を変えてみせるから！ 魔力とか関係なく、みんなが笑える世界にするから！」


言葉にするうちに感情が高ぶり、ついつい大きな声を出してしまう。驚いたように目を丸くするルーファスを見て我に帰り、声のボリュームを落とした。


「だからさ、絶対にまた一緒に遊ぼうよ。」

「っ、ありがとう、オリヴィア。ほんとに……」


ルーファスは涙をいっぱい溜め、心底嬉しそうに笑う。あの日以来初めて見る彼の笑顔だった。

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