【魔法と学園モノ】〜理不尽な世界でも君と笑いたい〜

第25話：基礎魔法 ページ27

４時間目の授業は基礎魔法。そのために班ごとに分けられたのだが、なんとレオンと同じ班になってしまった。現在班ごとに机を向かい合わせて座っているが、辺りを見渡すとアイリスのいる班は３人しかいない。

このクラスの生徒数は31人なので、ぴったり４人ずつの班は作れなかったのだろう。このままレオンと同じ班になるならば、と私は思い切ってクリス先生に声をかけた。


「先生、私、アイリスのいる班がいい。」

「ごめんねオリヴィアちゃん。班は魔力量で分けてるから移動はできないの。」


残念ながら願いは通らず授業が始まった。基礎魔法とは祈祷師から使える魔法で、ただ火や水を出すなどの日常生活を送る上で役に立つ魔法であり、消費魔力は60くらいだそう。

使い方のコツやその時の注意点などの説明を手元の巻物に一通り書き写した後、実際に魔法を使ってみることになった。流石に教室で使うのは狭すぎるということで、クリス先生の先導の元、校庭へと出ることになった。


「あーあ、祈祷さえまともに使えないやつと同じ班なんて嫌だな。」

「私は赤の他人のことてどうでもいいからね。あの魔法は苦手なんだ。」


班ごとに固まって移動している最中、横にレオンが並んできてそう言った。何故わざわざ横に来るのだろう。本当に嫌だと思っているなら極力近づかないで欲しいのだが。
祈祷が使えないのは事実なのでここは素直に認めておく。


「そういうレオンだって、ちゃんと成功したの一回くらいじゃない？
まぁ、キミも大概自分勝手だから仕方ないんだろうけど。」


ただ言われっぱなしなのも癪だから私もレオンの目を見返した。みるみるうちに彼の顔は林檎のように染まりその口は何か言いたげに動いたが言葉は出てこず、空気が漏れただけ。大方図星で何も言い返す言葉が無かったのだろう。


校庭へと出た私たちはクリス先生の監視のもと杖を取り出し、思い思いに基礎魔法の練習をする。

私も自身の魔力を変換して水を出したり、火をつけてみたりして練習した。一回の消費魔力量はそれほど多くないので、ころころと属性を変えながら杖を振るう。基礎魔法ならば家で何度も使ったことがあるため何も問題は起きない。


「火球(ﾌｰ･ｽﾌｪｰﾙ)」


手持ち無沙汰に、苦戦しているみんなを眺めていると急に背後から火の玉が飛んでくる。

すんでのところでかわして振り返ると、そこには悔しそうに顔を歪めたレオンがいた。右手にはしっかりと杖が握られていた。

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