第26話:初級魔法 ページ28
基礎魔法には呪文が無い。それは基礎魔法が戦闘を仮定して作られたものではないからだ。
魔法を使うのに呪文が必要となるのは、戦場で用いることを意識して作られた初級以上の魔法。それを習うのは2年生の授業のはずなのに。
この場を監督する責任者、クリス先生は校庭に着いた後、杖を自分の部屋に忘れたという子に予備の杖を貸してあげるためにこの場を離れていた。その機に乗じて上手くちょっかいをかけてきたのだろう。
「背後から攻撃だなんて、随分卑怯な真似するね。」
「攻撃? 自意識過剰も大概にしろよ。俺はただ魔法の練習をしてだだけだぞ。」
奇襲を仕掛けてきた相手、レオンは悪びれることなくしらを切る。
仮に基礎魔法の授業中に初級魔法の練習をしていて、仮にそれがたまたま私のいる方に飛んできたとして、避けた私に悔しげな顔を見せるなどあるだろうか。ご丁寧に僕に杖を向けておいて。
私が彼のことを気に入らないように、彼もまたそうなのだろう。事あるごとに突っかかってこないと気が済まない性格なのだということも、短い時間の中で分かってはいた。
だけどまさか、こんなに直接的に狙ってくるなんて驚いた。初級とはいえ戦闘用の魔法。当然、当たれば怪我をする。当たりどころが悪ければ大事に至ることもある。
「あぁ、そうなの。まぁ飛ばす場所の指定も出来てないしもっと練習が必要だろうね。」
ここでレオンを挑発しても決して自分のためにならないのは分かっている。負わなくていい傷を負うかもしれない。
だけどダメなのだ。気に入らないものは気に入らない。喧嘩を売られて黙って見過ごすなど出来ない。幼稚園の頃からそうだった。アイリスが、私のこういう性格を心配して付いてきてくれたことも知ってる。
「だろ?だから練習に付き合ってくれよ。」
レオンはそう言うや否や、先ほどと同じ魔法を飛ばしてくる。私は一歩後ろへ飛びのいて杖を構えた。私が家で練習したのは基礎魔法だけ。初級魔法なんて使ったことはない。ただ、入学するまで暇だからと呪文集に目を通したことはある。その時の記憶を引っ張り出す。
魔法はイメージだ。基礎さえ押さえておけば後は何とかなると信じて杖を振るった。
「
呪文を唱えると、杖を持った右手に魔力が吸い上げられる感覚が走る。集まった魔力は杖を伝いながら変質し人の頭くらいの大きさの水が、レオンの放った火球とぶつかって弾けた。
30人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えるふぃ(プロフ) - ゆいな♪さん» ゆいな♪さん、ストーリーをお褒め頂きありがとうございます(*´ω`*) 描写頑張った甲斐があります!これからもっともっと引き込んで行けるように頑張りますね!応援ありがとうございます! (2019年8月24日 23時) (レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな♪(プロフ) - あわわ、す、すごいです!ストーリも分かりやすいので、凄い引き込まれます!更新頑張ってください! (2019年8月16日 13時) (レス) id: 0214723abe (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - ぽむぽむぽあろさん» ぽむぽむぽあろさん、ありがとうございます!そんな風に褒めてくださって嬉しいです!読み手に情景が伝わるように書くのが目標だったので(*´ω`*) 夏休みに入ったら更新速度上げられるように頑張ります!応援ありがとうございます! (2019年7月30日 22時) (レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむぽむぽあろ(プロフ) - 設定がしっかりしてるので、お話の内容がアニメーションになって頭の中に浮かびます。とても面白くて好きです。もっと伸びてておかしくないと思うので更新頑張ってください! (2019年7月30日 12時) (レス) id: b97deb3170 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - ちょこころねさん» ちょこころねさん、はじめまして!世界観とキャラの設定は一番力を入れたところなので、そこを褒められるとめっちゃ嬉しいです!文章長いのに一気読み、おつかれさまです!ちょこちょこ更新するのでよろしくお願いします! (2019年1月18日 10時) (レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:えるふぃ | 作成日時:2018年9月23日 21時