中原の覇王 part5 (ページ40)

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201話ページ40

桓温と周章は雑兵に変装し、逃げる雑兵に紛れて陣を去った

謝安は、そのまま秦軍の陣地に向かった…秦には昌平君もおり、何とかなると思っていたのだ

翼「こんな…こんな事があってもいいのかよ…！如何なる状況であれ、主人には最期まで付き従うのが、武士の心掛けじゃねぇのか…！」

麗「翼…愚痴を言っても仕方がない。今は残った兵の数を調べよう」

翼「…あぁ…」

項翼と白麗が調べた結果、項燕と運命を共にしようと決めた兵は、800人程であった

もし項燕が泥酔していなければ、ここまで楚軍が瓦解する事は避けられただろう…

昌平君がAに語った10日と言うのは、秦軍の一部に楚の言葉と歌を覚えさせる為に、必要な時間であったのだ

韓「流石、昌平君の策略だ。楚軍の弱点をこれでもかと言う程に付いている…！」

『そうだな』

信「…逃げ出す楚の兵はどうすんだ…すか？」

『黙って通してやれ。放って置いても、害はない』

信「うっす」

『だが、項燕は逃がすな。奴は逃がせば取り返しのつかない事になる』

Aの命令を受けた飛信隊は、楚兵を黙って通した

現代でも…周囲がすべて敵や反対者で、全く孤立して、助けや味方がいないことを……四面楚歌という

泥酔していた項燕だったが、歌によって目が覚める

燕「夜中に歌など…不謹慎ではないか！」

項燕は、自軍の只ならぬ気配を察する

燕「うっ…！兵の姿が見当たらぬ！」

項燕の元に、項翼と白麗が泣きながらやって来る

燕「一体…何があったのだ…！」

麗「秦軍は…我等の精神的疲弊に漬け込み、楚の歌を流しました…！兵達はそれを聞き、望郷の念に駆られ、続々と逃亡を開始したのです…！」

燕「ぬぅぅ…！秦は楚を全て得たのか…！なんと秦軍に楚人の多いことよ…！…それで、逃亡兵はどのくらいだ？」

麗「はっ…！残ったのは私と項翼、兵は800人程です…！」

燕「何だと！？桓温は！？」

翼「周章殿と…逃亡兵に紛れて…」

燕「謝安はどうした！？」

麗「楚王族と楚人達を守る為といい、秦軍に降伏しました…」

燕「そんな事を言っていたのか…！用いてやった俺を見捨てたのか！」

麗「このままでは、秦軍の攻撃を防げません…！直ちに落ち延びなけねばなりません！」

燕「分かっている…天が…俺を…楚人を消そうとしているのか…」

項燕は残った楚軍を全員集め、別れの宴を行った