中原の覇王 part5 (ページ37)

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198話ページ37

政「楚の滅亡は叶わなかったが…一先ず戦は終わりだ」

周りが静寂に包まれる

政「？どうしたのだ？」

『大王様…本気で仰っているのですか？』

政「何だと？」

『咸陽に帰すのはご家族だけに留め、我等は西に帰ってはなりません』

政「具体的には？」

『楚軍が建業に入る前に追撃し、項燕の息の根を止めるのです。今なら簡単に楚軍を滅ぼせます』

政「何！？正気で申しているのか！？」

『はい。正気ですよ。和睦は、太后様達を取り戻す為だけの物です』

平「元帥の言う通りです。項燕が油断している今こそが、中華統一の絶好機なのです。決断が一日延びる事に、勝機は遠退いていきます」

尉「得難くして失い易いのが時というものです。万一楚が衰弱から再興する、あるいは他の英雄がこれに取って代わったならば、ただ大利を逃すのみならず、後世の憂いが怖ろしくなりましょう」

政「だが盟約を破れば、俺は天下の信頼を失うぞ！」

『大王様…私達は中華統一の為、泰平の世を創る為に今まで力を尽くしてきました。名声の為ではありませぬ』

政「分かった…一晩考えさせてくれ…」

政は奥に入った

翌日、政は盟約を破って楚軍を攻撃することを宣言した

平「決断が間に合いましたな」

『ギリギリでしたがね』

秦軍は楚軍の背後を急襲した

温「項燕様！秦軍が急襲してきました！あの和睦は太后を取り戻す為だけの物だったのです！」

燕「ぬぅぅ！虎狼の国が！あんな国を信じたのが間違いだったのだ！！」

楚軍は憤るも、圧倒的多数の秦軍に太刀打ち出来ず、楚軍は兵の殆どを失った

『よし楚軍は破った…珪。お前は、5万の兵を率いて楚の都の建業を落とし、楚王を捕らえよ』

珪「そんな簡単に、建業が落ちますか？」

『あそこは障害物は多いが、城は固くない。それに兵も殆どいないとの事だ。容易に落ちる』

翦「我等は、どこに本陣を置きましょうか？」

『本陣は…垓下だ』

項燕は、恥を忍んで什虎に援軍を頼む

満羽の元に使者が来て、満羽は書を読んだ

満「(これは…随分高飛車に書かれているな…それだけ楚の情勢が苦しいということか…)」

満羽は決心した

満「(蒙武との二度目の一騎打ちで、目的は果たせたしな…楚には恨みは合っても恩はない…ここは日和見を決め込んで、楚が滅んでから、秦に降伏しよう。寿胡王もいることだしな)」

満羽は項燕の使者を、体よく追い払った

温「什虎は日和見を決め込みましたな」

項燕は怒るも、桓温に諌められた