中原の覇王 part5 (ページ12)

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173話ページ12

『ほう…ではここを明け渡すと言うのか』

賓「はい。趙忽はそう言っていました」

『それなら…邯鄲まで損害なく包囲出来そうだ』

賓「Aさんは数日後にこの城に総攻撃をかけ、趙軍を皆殺しになさって下さい」

『何？』

信「ちょっと待てよ！約束はどうするんだ！？」

賓「それは上が勝手に決めたこと…雑兵達には何の関係もない。そんな奴等が趙を滅ぼそうとしている軍隊を見逃すと思うか？」

信「それは…」

韓「Aさん、敵の監視が緩んでから総攻撃をかけましょう」

Aの策は決まり、秦兵達はそれに備えた

張賓の見立て通り、ここを守る兵は徹底抗戦の構えを見せており、最終決戦に備えて剣を研ぎ続け、少しでも敵を道連れにせんと思っていた

だが趙忽ら上層部は、滅亡は回避されたと完全に思い込み、万戸候に封ぜられる事で、浮かれきって兵士を慰撫せず、日夜宴と酒色に溺れる次第であった

正に…人材が消え去り、死にゆく国の典型的な最末期の症状であった

上がこんなでは、いくら兵士に気概があってもモチベーションが続く筈もなく、急速に士気を無くしていき、警備もまともにされなくなった

警備が消えた事を知ったAは、城に入場し、守備隊の不意をついて攻めかかった

外からの悲鳴に趙忽が驚く

忽「一体何事だ！？」

趙忽が部屋から出ると、そこには城内を、我が物顔で暴れまわる秦軍の姿があった

忽「しまった！騙されたか…一旦退いて体制を立て直すぞ！」

趙忽が退こうとするも、既に城内は秦軍がほぼ制圧していた

虎「Aさん。制圧が終わりましたわ」

『よし。後は趙軍を潰すぞ！遠慮はいらん！徹底的に殺し尽くせ！』

冉閔や拓跋珪、飛信隊が趙軍に襲いかかった

この為、逃げ遅れた趙兵は悉く殺された

趙忽も逃げ遅れた人物の一人であった

信「待ちやがれ！そこにいるのは趙将だな！」

忽「ぬぅぅ！秦のゴミ共が！よくも謀りおったな…！！」

信「今までの悪事を棚に上げて…今更属国として生き残るなんて、虫のいい話があるわけねェだろうが！！」

信は趙忽に攻めかかる

信「テメェらの国を滅ぼすのは、王騎将軍や麃公将軍…中華の民全ての夢だ！！」

信は数合打ち合った末に、趙忽を袈裟斬りにした

「そんな！趙忽様！！」

恬「信がやった…趙軍を全滅させるぞ！」

Aは趙人に敗北と絶望を刻み込むべく、激しく追撃した

屍は100里に渡って転がり、そのザマは尚武の軍として讃えられたとは思えない…無様なものであった