中原の覇王 part4 (ページ9)

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125話ページ9

前232年の8月…遂に六国が、秦国に侵攻し始める

趙も代を経由して、秦に攻め込もうとした。しかし…

「？なんか、揺れてないか？」

「待てよ…揺れが大きいぞ！」

「何て揺れだ！立ってられない！」

「ヤバい！家屋が壊れた！」
「うわあ～！」

「ああ！家畜が地割れに！」

「馬が全部！」

代から王都圏北部にかけて、中華史上最大規模となる大震災が襲った

1・7キロくらいの地割れが生じる程であった

玲「…軍馬は？」

「殆ど壊滅です…！立ち直るには、一年はかかるかと…！」

玲「クッ…！こんな時に…！」

この大震災により趙軍は、復興の為に合従軍を一時離脱せざるを得なくなる

大震災は他国も知っており、趙への信頼は揺らがなかったが、函谷関の攻略は不可能になる

媧「趙軍が遅れる以上、函谷関は落とせません。故に函谷関ではなく、藍田を通って咸陽に攻め込みましょう。藍田は咸陽の喉元で、かつて懐王が司馬錯と樗里疾に大敗した城…落とせば先人の無念も晴らせます」

燕「ふむ。それは良い考えだ」

50万の合従軍は、藍田へ進撃を開始した

平「やはり…藍田を狙ったか」

昌平君は藍田攻撃を予想していたのだ

実は、Aが趙西部を平定した際、地震の兆候を確認していたのだ

その為、函谷関の安全を確信しており、藍田に兵を配置することが出来た

政「Aの予想通り、合従軍が攻めてきたな」

尉「大王様。私に策があります」

政「何だ？」

尉「反間の計です。大王様に質問ですが、項燕が信頼する武将の中で、中華に名の轟く者は何人程と思いますか？」

政「そうだな…媧燐、桓温、祖逖、周章、謝玄…4人か5人程か…意外に少ないな」

尉「そうです。この者達を狙い撃ちにして、疑心を煽るのです」

政「具体的には？」

尉「簡単です…金です。大金をばら撒き、媧燐や桓温が謀反を企んでいると噂を流すのです。項燕はああ見えて単純な男…噂を複数回耳にすれば、媧燐の進言を信じなくなります。軍の関係に楔を打ち込めば、後は思いのままです」

政「成程…昌平君、尉繚の策をどう思う？」

平「面白い策です。項燕の弱点を的確に突いております」

政は、尉繚に黄金4千斤を与える

政「これは、そなたに全て任せる。明細は不要だ」

尉「ハハッ！」

尉繚は手下を集める

尉「良いか。楚軍に潜入して金をばら撒き、媧燐や桓温の謀反の噂を流すのだ。金は惜しむな。幾らでも出す」

尉繚の手下は潜入を開始し、楚の陣に潜った

地獄の沙汰も金次第である