中原の覇王 part4 (ページ43)

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159話ページ43

韓「それに…趙を守るのは、最早趙玲達だけでしょう。それが降れば趙を守る者は居なくなり、趙の滅亡に直結します。"天の与うるを取らざれば、反って其の咎を受く"と言います。我等が降伏を認めなければ、奴等は他国に走るでしょう。さすれば趙は滅ばず、もう一つの趙を作る事になります」

『うむ…韓信の言は最もだ。なら私は旧来の恨みを飲み込み、奴等の降伏を受け入れよう』

Aは降伏の受け入れを認めると共に、令使である春平君の首を引き渡す様に言い、更に矢を折る

矢を折って渡すのは武士の誓いであり、反故にするのは恥と言われる

長城に戻った司馬尚は、趙玲に矢を見せる

玲「よし。では春平君を引き出しなさい」

淵「はっ！」

投獄されていた春平君が引き出される

春「これ何をするか！？私は令使だぞ！大王様の代理なのだぞ！？」

玲「黙りなさい！私達三大天は趙の為、国の為に命がけで戦って来たわ…だけどその報いがこれよ！夫や家族は殆ど殺された！…愚王と佞臣に支配されたこの国に、もう未練はない！！私達は、アンタの首を手土産に…秦に降る！！」

春「ヒーっ！！だ、誰か此奴を殺して私を助けよ！令使の危機であるぞ！！」

誰も春平君を助けず、首を刎ねられる

玲「後は一刻も早くここを去るわよ」

旧李牧軍は降伏を拒否するが、趙軍の大多数である20万人が、三大天と共にする事を決める

秦軍の陣地に向かおうとする趙玲達だが、カイネが声を掛ける

カ「貴女を止めるつもりはありませんが、我々は趙の民を守る為に今まで戦って来ました。もし邯鄲を落としても、民は傷つけないで下さい」

玲「…分かったわ。気を付けましょう」

カイネ達も長城を去り、残った兵は3万程となった

「ひえー！これではここは守れぬ！！」
「直ぐに王都に報告するのだ！」

三大天降伏の知らせは、郭開にも届く

郭「何！？趙玲達が秦に降っただと！」

「はい！長城はもぬけの殻です！」

郭開は幽繆王に報告する

遷「何？叔母上が降伏したと言うか」

郭「はい。やはり奴等は謀反を企んでいたのです。中華最強の趙軍が、秦の犬如きに負けるのはおかしいと思っていました」

遷「それで…どうすれば良いのだ？」

郭「要所の兵を増強すれば、充分防げます。更に司馬尚の城、青歌を攻め滅ぼしましょう」

遷「分かった。そのようにせよ」

郭「ははっ」

Aは趙玲達との会見を、殷墟で行った

殷墟は、殷が悪政で民心を失い、王朝が交代した…という象徴的な場所である