中原の覇王 part4 (ページ28)

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144話ページ28

丹の帰国に、燕の首脳部は頭を痛める

丹は重臣である鞠武に相談する

丹「鞠武よ。燕王室は召公奭の子孫であり、周王室の末裔でもある。私はその一員として、娼婦産まれの政にも優しくしてやったのに、奴は私を哀れんで下に見た…！」

鞠「お怒りはごもっともです」

丹「私は秦を滅ぼし、政の皮をこの手で剥いでやりたい！何か策はないか？」

鞠「復讐などとんでもございません！秦は三晋(趙・魏・韓)を脅かし、北に甘泉・谷口が天然の要害となり、南に涇水・渭水に沿った肥沃な大地を有します！肥沃な巴や漢中を独占し、右は隴・蜀の山脈、左は函谷関・崤山に守られており、北の匈奴、月氏、東胡を従え、南の南蛮までも服従させています。人口も多く、兵士は勇猛で、武器防具は山のように有ります！」

丹「…」

鞠「漢に至っては、豊かで発展した西の世界を全て領有し、拓跋Aの武勇、軍略、覇気はこの世に並ぶものが存在しません！またその配下も、数多の強軍を叩き潰してきた、百戦錬磨の勇者で、奴の息子も母親譲りの傑物であります！秦が本気で燕を攻めようと思えば我が国はどうなるかわかりません。なぜ秦王に侮られたくらいの怨みで、秦の逆鱗に触れようとなされるのです？どうか太子様はご自重なさって下され」

丹「ならこの屈辱を黙って飲み込めと言うのか！？」

鞠「その通りです。何事も我慢が肝要です。魏の廃王假は、秦や拓跋Aへの怒りの感情のままに振る舞い、魏国に多大な厄災を与え、自身も身の破滅を迎えました。あれは遠い昔の話ではありませぬ！」

丹「ぐぬぬ…！」

丹は言い返せなかった

そんな中、秦の元将軍である樊於期が、丹の元にやってきた

呂不韋の命令で、嘗ての反乱軍を支えていたが、政に敗れて、一族は皆殺しにされ、自身の首に莫大な懸賞金と領土を掛けられていた

樊於期は中華を転々としていたが、成都攻防戦以降、秦の圧力が跳ね上がったので、秦と国境を接していない燕に逃れて来ていたのだ

丹「樊於期殿！此度は何用で…」

樊「私の家族は秦王に殺され、私は何とか逃げて参りました。頼れる所も無く、厚かましくも、太子様を頼ってきた次第にございます」

丹「そうでしたか…屋敷を与えますので、ゆっくりして下され」

樊「感謝致します」

丹は樊於期を匿った

それを知った丹の母は、丹を詰問する

丹「母上！今日は何用で…」

「何用で…ではありません！貴方…樊於期を匿っているそうですね！？」

丹「はい」