中原の覇王 part4 (ページ19)

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135話ページ19

6月下旬…合従軍は成都へ向けて進軍を開始した

破竹の勢いで進撃を続け、あっという間に武関に到達した…

合従軍が武関を攻めている頃、国境に潜んでいた赫連勃勃は、これを好機として、楚の後背地を大いに荒らしていた

項燕は自身で全軍を率いる事で、戦場では多大な強さを発揮していたが、後背地が弱点となっていた

そこに、楊端和が合流する

勃「項燕を戦場から引き離したいのかい？」

楊「そうだ」

勃「うーん、俺は大分片付けたと思ったが…そういえば、まだ魏興があったな。あそこは兵糧は元より、他の軍需物資が山とある」

楊「我等の力で、そこを襲えないか？」

勃「おう。これだけあれば充分だ。よし！今夜にでも実行しよう！」

赫連勃勃と楊端和は、魏興に辿り着く

勃「端和殿、まず手慣れた俺の手下があちこちに火を放つ。その後、我等で基地を襲おう」

楊「ああ」

勃「阿利！」

阿「何だ族長？」

赫連勃勃が自身の配下である、叱干阿利を呼び出す

勃「任せた」

阿「おう！」

叱干阿利は、潜入して放火した

突然の火事に守備兵が慌てる

そこを赫連勃勃と楊端和が襲撃した

守備兵は不意を突かれて丸裸同然であった

多くの楚兵が殺され、紅蓮の業火はありとあらゆる物を焼き尽くした

楊「作戦成功だな」

勃「まぁね。とはいえ、この程度では項燕は引き返したりしますまい。そこで、俺が後背地の都市を占領しておく。そうすれば、項燕も戦場を去らざるを得ますまい。その間に合従軍を滅ぼすよう、A氏に伝えて下され」

楊「分かった。任せておけ」

その後、赫連勃勃は、鬼の居ぬ間に洗濯と言わんばかりに、都市を占領していった

項燕がそれを知るのは、武関を落とした翌日であった

激怒した項燕は、側近の殷浩に軍を任せると、自身は桓温や白麗、項翼と1万の兵をを引き連れて、赫連勃勃討伐に引き返した

殷浩は桓温には劣るが、堅実な戦を好む人物であった

項燕は引き返したが、合従軍は破竹の勢いで攻め込んでいく

合従軍の将兵に楽観的なムードがみなぎり始めた

この分では、冬までには、目標を達成して本国に帰ることが出来るだろう…と誰もが考えていた

ほとんど抵抗らしきものも受けることなく、合従軍40万は成都城に突入する
　
成都の占領は、項燕の側近である殷浩の指揮する合従軍の精鋭軍に委ねられていた

特に楚軍は、歩兵を中心とした精鋭部隊で、かつて中華を破竹のように席巻し、中華全土を震え上がらせた電撃戦の立役者でもあった