30.〜一松side〜 ページ33
紫を基調としたベッドや家具
ずんずんとベッドの前に向かい、ベッドを背もたれにズルズルと床に崩れ落ちた
「A…」
ふと妹の名前を口にする。
しかし、すぐに余韻すら消え去り
しんと静まりかえる
もう一度、最愛の妹の名前を唱えようと口を開いたが
思いとどまり口を閉じた
目を閉じると、自分の鼓動や吐息が微に聞こえた
ポツリ、ポツリと、雨が屋根を打つ音が聞こえてきた
その音はだんだんと激しさを増した
「…っ___」
嫌だ。
何で。
どこで壊れたんだ
僕達は。
ねぇ、
帰ってきてよ。
A
雨の音にかき消されたその声は
本心なのか。
自分でも分からなかった。
本当、俺ってゴミだわ
自嘲する笑みは頬を引きつらせ薄い笑い声が響いた。
ーー
ふと、目を覚ました。
目の前には黄色い毛布
毛布の端には少し汚い字で十四松と書いてあった
黄色い毛布にくるまった形で眠ってしまっていたようだ
まだぼんやりと夢の中にいる頭を現実に引き戻すために立ち上がった
そして、パサリと肩から落ちた毛布を拾い上げ
少しだけ伸びをしてからドアに向かった
ドドドドドドーー___
何かが走ってくる音が聞こえた
そして、その音はちょうど俺の部屋の前で止まった
ゆっくりとドアが開けられる
そこから顔を出したのは、言わずもがな
「…あっ!兄さん!!起きた!
仕事の時間でっせー!!」
十四松
「わかってる。今行くから待ってて」
「アイアイサー!!」
ビシッと敬礼のポーズを取る十四松に
「あ、」
「コレ、…ありがと………。」
黄色い毛布を差し出しながら言った。
目を合わせていられなくなり、下を向く
「っ!!うん!!」
元気に返事をする十四松に弾かれたように顔を上げると、
俺には眩しいくらいの満面の笑みで
嬉しそうに笑う十四松がいた
少しだけ。
ほんの少しだけ
氷のように冷たかった心が
暖かくなった気がした
時計の針はもうすぐ午後1時を知らせる鐘を鳴らすだろう
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こたつ(プロフ) - 林檎さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて光栄です!更新はもう少々お待ち頂けると嬉しいです (2016年6月1日 15時) (レス) id: 84292a694d (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - この作品とても心にきておもわずないてしまいました (2016年5月31日 20時) (レス) id: 99a581fe59 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ(プロフ) - エリカさん» コメントありがとうございます!テスト期間が終わり次第更新頑張ります!ありがとうございました! (2016年5月20日 1時) (レス) id: 84292a694d (このIDを非表示/違反報告)
エリカ - 更新頑張ってください! (2016年5月19日 23時) (レス) id: 516a27e0b4 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ(プロフ) - 黒猫さん» コメントありがとうございます!自分の作品で泣いてくださる方がいるなんて…!恐縮です…。これからもぼちぼち頑張っていきます!ありがとうございました! (2016年3月24日 18時) (レス) id: d698e139af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたつ | 作成日時:2015年12月24日 0時