検索窓
今日:29 hit、昨日:18 hit、合計:79,973 hit

27.〜チョロ松side〜 ページ30

僕はすぐさま通話のボタンを押して電話に出た。


「おそ松、兄さん…?」



〈「チョロ松ー?」〉

呑気な間の抜けた声。


「どうしたの、仕事は?」

〈「あー、今向かってるトコ」〉

「そう。で、何、急に。」

兄さんが電話するなんて。
よっぽどのことでもあったの。


〈「いやー、何もないんだけどさー」〉

んだと。
こっちはAのことでピリピリしてんのに

と、内心毒づきながら
はあ。と、重めのため息をつく

〈「あー、ダメだよチョロ松。
まぁたため息ついた。」〉


幸せが逃げる。なんて、ただの迷信なのに
なんども注意してくる。

〈「もー、だめだからねー。
トド松にまた怒られるよ」〉

「または余計!」




〈「あ、そうだ」〉

急に思い出したようにつぶやいた

「なに、?」

〈「今日、俺が出かけた後。


なんかあった?」〉









僕は迷った


兄さんに


伝えるべきか、そうじゃないか




迷って、迷って。迷った末





「…別に、なにもないよ」

そう答えた。


〈「…そっ、か。」〉


そう言ったおそ松の声は、さっきと変わらぬ明るい声音のはずなのに
何処か寂しそうで

少し、息が詰まった。


「…っ、兄さ〈「チョロ松、」〉…」

絞り出した声は兄さんによって遮られる。

〈「ごめんな」〉



僕は何かを口に出そうとしたが口から出たのは渇いた吐息だけだった



〈「変なこと聞いてごめんな」〉
〈「そうだ、今回の俺の仕事、なんか長くなりそうだから」〉
〈「しばらくそっちはよろしくな。」〉
〈「一週間後には帰れると思うから」〉


僕にまるで口を挟ませないように要件を言い終えると

〈「じゃあな!お兄ちゃんお仕事頑張ってくるから」〉

と、言って一方的に電話を切られた。




しばらく放心状態だった僕は、

先ほど切れたばかりの携帯が
また震えていることに気がつき
意識を戻した。



二度目の着信。

二人目の着信者は

〔カラ松〕



頭の整理がまだ付いていない僕は

このひたすら間の悪い兄たちからの電話に出ることしかできない。



一旦落ち着くためにブンブンと頭を振り、
顔を携帯を持っていない方の手でスパァンと叩いた。

ヒリヒリと痛む頬はすこしの間混乱した脳をいくらかマシにしてくれるだろう




通話ボタンを押して電話に出た

28.〜一松side〜→←26.〜チョロ松side〜



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (150 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
264人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

こたつ(プロフ) - 林檎さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて光栄です!更新はもう少々お待ち頂けると嬉しいです (2016年6月1日 15時) (レス) id: 84292a694d (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - この作品とても心にきておもわずないてしまいました (2016年5月31日 20時) (レス) id: 99a581fe59 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ(プロフ) - エリカさん» コメントありがとうございます!テスト期間が終わり次第更新頑張ります!ありがとうございました! (2016年5月20日 1時) (レス) id: 84292a694d (このIDを非表示/違反報告)
エリカ - 更新頑張ってください! (2016年5月19日 23時) (レス) id: 516a27e0b4 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ(プロフ) - 黒猫さん» コメントありがとうございます!自分の作品で泣いてくださる方がいるなんて…!恐縮です…。これからもぼちぼち頑張っていきます!ありがとうございました! (2016年3月24日 18時) (レス) id: d698e139af (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:こたつ | 作成日時:2015年12月24日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。