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一通り部屋を調べ終わった私は恐らく
この部屋で唯一の出口であり、入り口なのであろう
木製のドアの前にたった。
……しかし、ここで早まって外になんて出てはいけない。
そんなものはわざわざ自分を捕まえてくださいと申し出ているようなものだ
先程自分の身体を確認した時も、部屋を見て回った時も
私の武器になりそうなものなんてなかった。
つまり私は今、敵が現れたら逃げる。という選択肢しか選べないのだ。
そこで、私は考えた。
一応、取り柄として人に自慢できるかどうかとまではいかないが
素早さには自信がある。
この素早さを利用しよう
掻い摘んで説明するとこうだ。
私は、この部屋から出ずに、ここで人が来るのを待つのだ。
多分、根拠はないけど、この部屋。この屋敷の主は私と同じような裏の人間なんだろう。
私達は普段からそういうのに敏感で常に護身用に何か武器を持っているはず。
つまり、今回はその武器を拝借して逃げてしまおうという作戦だ。
とりあえず、この怪我の手当てをしてくれたかもしれない方だ。
仮にも殺したりはしないよ。
それに、早くここを出て怪我を少しでも早く治して
早く、…任務を遂行しなきゃいけない…。
ー
…__スタスタ
『!』
足音っ!
突然聞こえたその足音にドクンと緊張で心臓が大きく脈打つ
どこかに、隠れなきゃ…
そう思ってとっさに潜り込んだのはベッドの中。
…
しばらくして、足音が部屋の前で止まり、ガチャリ。と、重い鍵を開けるような音の後に
ギィーと、扉の軋む音を響かせながら人が入ってきた。
私は、眠ったふりで目を閉じているため顔は分からないが
足音の重さから、恐らく男の人だろうという目星はついた。
その人は
ゆっくり、ゆっくりと足を進め、
私の寝ているベッドの真横に来た。
鼓動が緊張でドクドクと足早に脈打つ
ふわりと、優しくてなんだか懐かしい匂いが鼻を掠めた
そして、それから直ぐに人の肌の感触が手に伝わる。
驚いてピクリと動いてしまったが、その人は気づいていないようだ。
その人は優しく私の手を包むと、手を離し、今度は頭に手を乗せた。
そして、優しく何度も、何度も、壊れ物を扱うように優しく撫でた。
すぅ、と息を吸う音の後
「早く、目を覚ましてくれ、A」
と、囁くように呟いた。
あれ、この声。聞いたことある…?
なんでこの人は私の名前を知ってるの?
あなたは、誰?
気づくと私はその人の手を掴んでいた
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こたつ(プロフ) - 林檎さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて光栄です!更新はもう少々お待ち頂けると嬉しいです (2016年6月1日 15時) (レス) id: 84292a694d (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - この作品とても心にきておもわずないてしまいました (2016年5月31日 20時) (レス) id: 99a581fe59 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ(プロフ) - エリカさん» コメントありがとうございます!テスト期間が終わり次第更新頑張ります!ありがとうございました! (2016年5月20日 1時) (レス) id: 84292a694d (このIDを非表示/違反報告)
エリカ - 更新頑張ってください! (2016年5月19日 23時) (レス) id: 516a27e0b4 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ(プロフ) - 黒猫さん» コメントありがとうございます!自分の作品で泣いてくださる方がいるなんて…!恐縮です…。これからもぼちぼち頑張っていきます!ありがとうございました! (2016年3月24日 18時) (レス) id: d698e139af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたつ | 作成日時:2015年12月24日 0時