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しんちゃんはズボンを脱ぎ、乱暴に私の服を脱がそうとしてくる。
私の抵抗する声も力も、しんちゃんには何一つ届かない。
けれどその瞬間、馬乗りになったしんちゃんが吹っ飛んだ。
しんちゃんの顔面に飛び蹴りした人。
それはよく知ったあの人だった。
「総悟、くん……?」
「先生悪かったですねィ。突入ギリギリになっちまって」
総悟くんに押さえつけられたしんちゃんは喚きながら暴れている。
身体が恐怖で震えていた。
カタカタと震える私に背後から上着を被せ、肩を持ってくれたのは先程の電話相手である土方さんだった。
「証拠写真はバッチリ捉えた。おい、山崎。先生を安全なとこに連れて行け」
「了解しました!さあ、先生。もう大丈夫ですから行きましょう」
しんちゃんがこうなることを予知していた坂田さんは真選組の皆さんを待機させるよう手配した。
もちろん普通ならこんなことは出来ないけれど私のためにと土方さんたちは休日出勤してくれたのである。
しんちゃんを逮捕するには現行犯でなければならないし、証拠現場をしっかりと抑える必要もあった。
最悪挿れられるのを覚悟していたけれどそれ前に助けてくれて本当に良かった。
「おいA!!!!てめぇ覚えてろよ!!俺にしたこと後悔させてやる!!このクソ女!!!殺してやる殺してやる殺してやる!!!」
しんちゃんの叫びはまるで悪魔のようだった。
私が愛していた彼はもうここにいない。
本当に本当にただただしんちゃんが怖い。
「先生、早く行け」
土方さんに言われて私は正気に戻った。
ここから離れなきゃ。
その一心で私は山崎さんに連れられてマンションの外に出る。
パトカーに乗ると私が落ち着くようにと山崎さんは私の背中をさすってくれる。
かぶき町へ来て良かったとこの瞬間強く思った。
「先生、囮になるような真似をしてしまって本当にすみませんでした」
「そんなことありませんっ……山崎さん…本当にありがとうございます」
「いえいえ。旦那から予め言われていて良かったです」
真選組を動かせれたのも坂田さんのおかげだろう。
坂田さんや真選組の皆さんがいなければきっとこうはならなかった。
「っ……これでやっと……本当に終わったんです……」
私は初めての恋人を今日で失った。
それでもその瞬間悲しいのに嬉しかった。
嫉妬、執着、依存、独占。
それらの感情から一気に解放されたから。
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凛 - とても良かったです!ゆっくりでもいいので更新待ってます! (2022年12月17日 17時) (レス) @page37 id: 0db889cc25 (このIDを非表示/違反報告)
のん@天使から墮天使(プロフ) - 瑠々亜さん» 返信、ありがとうございます!とういうことでしたか…なるほど。頑張ってください!応援してます! (2019年9月2日 20時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
瑠々亜(プロフ) - のん@天使から墮天使さん» コメントありがとうございます。ちゃん呼びはただの愛称なので深い意味はないです(><)更新頑張ります! (2019年9月2日 14時) (レス) id: d64c66c7f1 (このIDを非表示/違反報告)
瑠々亜(プロフ) - 亜水さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けてとても嬉しいです(><)更新頑張ります! (2019年9月2日 14時) (レス) id: d64c66c7f1 (このIDを非表示/違反報告)
のん@天使から墮天使(プロフ) - 最初自意識過剰かなと思ってしまったけど…読んでみて良い話!夢主はなんで恋人のことを[〜ちゃん]と呼んでたのか知りたい…。夢主、辛いだろうなぁ…僕は恋人なんぞ居ないから分からんが…別れてしまえ((酷い 銀さんとくっ付けぇぇぇ(( 更新頑張ってください! (2019年8月25日 22時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠々亜 | 作成日時:2019年8月17日 21時