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夕食を食べ終え私は食器を洗い、しんちゃんはテレビを見ていた。
バラエティー番組を見ているようで時々大声を出して笑っている。
「しんちゃーん。もうお風呂入りなよー」
「あははっ……今テレビ見てるから」
上京して一週間。
本人にその意思が見られないからそろそろ言った方がいいだろう。
私はテレビがCMに変わったところでしんちゃんの隣に座った。
「ねえ、しんちゃん」
「ん、なに?」
「……お仕事、ちゃんと探してるの?」
しんちゃんは以前まで保険会社に勤務していた。
でも半年前に会社からリストラされ、今は無職といった状態。
上京したら仕事を探すと言っていたけどその気配は一切ない。
今一家の大黒柱となっているのは私だ。
もちろんしんちゃんに大黒柱になれと言っているんじゃなくて、まだ若いうちに社会復帰するようにして欲しいだけ。
「もし困ってるんだったら私も手伝うし、かぶき町には求人情報いっぱい出てるからそことかで────」
「ごめん、うざい」
しんちゃんの低く冷淡な声に驚きを隠せなかった。
私が目を見開くとしんちゃんは微笑む。
その目は決して笑っていないけど。
「Aには分かんないよね。リストラさせられた俺の気持ちなんて。このご時世仕事探すのがどれだけ大変か分かってんの?」
「分かってるよ…ただ私は」
「仕事人間のお前が?笑わせんなよ。お前は俺のこと何一つ理解しようとしねぇよな」
しんちゃんはそう言うと立ち上がって私の横を通り過ぎた。
バタンと玄関のドアが閉まる音がする。
そうやってまた出ていくの?
やっぱりしんちゃんは仕事のこと口出しされたくなかったみたい。
仕事上私は確かに食いっぱぐれもないしリストラされることもない。
でも、仕事の大変さは重々承知しているつもりだよ。
それに私はいつもしんちゃんのこと理解しようとしてる。
しんちゃんが一日中家でゴロゴロしていても、女の人と飲み歩いていても、家のことを何一つしなくても。
ねえしんちゃん。
しんちゃんは私のこと理解しようとしてくれてる?
仕事で疲れた私に「おかえり」のひとことも、「おつかれ」のひとこともくれない。
理解しようとしてないのは私だけ?
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凛 - とても良かったです!ゆっくりでもいいので更新待ってます! (2022年12月17日 17時) (レス) @page37 id: 0db889cc25 (このIDを非表示/違反報告)
のん@天使から墮天使(プロフ) - 瑠々亜さん» 返信、ありがとうございます!とういうことでしたか…なるほど。頑張ってください!応援してます! (2019年9月2日 20時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
瑠々亜(プロフ) - のん@天使から墮天使さん» コメントありがとうございます。ちゃん呼びはただの愛称なので深い意味はないです(><)更新頑張ります! (2019年9月2日 14時) (レス) id: d64c66c7f1 (このIDを非表示/違反報告)
瑠々亜(プロフ) - 亜水さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けてとても嬉しいです(><)更新頑張ります! (2019年9月2日 14時) (レス) id: d64c66c7f1 (このIDを非表示/違反報告)
のん@天使から墮天使(プロフ) - 最初自意識過剰かなと思ってしまったけど…読んでみて良い話!夢主はなんで恋人のことを[〜ちゃん]と呼んでたのか知りたい…。夢主、辛いだろうなぁ…僕は恋人なんぞ居ないから分からんが…別れてしまえ((酷い 銀さんとくっ付けぇぇぇ(( 更新頑張ってください! (2019年8月25日 22時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠々亜 | 作成日時:2019年8月17日 21時