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しんちゃんと私は固まった。
だがすぐにしんちゃんは坂田さんに食ってかかる。
坂田さんの胸ぐらを掴み声を荒げた。
「だれだてめぇは!!ふざけんな離せよ!!おい、A!!こいつもしかしててめぇの男か?!俺といながらお前も他に男作ってたのかよ!!!えぇ?!このクソビッチが!!」
心無い暴言は私の胸に深く突き刺さった。
私の愛はしんちゃんには何一つ届いていなかったんだね。
こんなにも好きで好きで仕方なかったのに、しんちゃんは私のことどうでもよかったんだ。
私はしんちゃんにとって都合のいい女。
住居もお金も用意してくれる。
そして言えばいつだって抱かせてくれる。
不満一つ言わない、忠実な犬でしかない。
「チワワみたいにギャンギャン吠えんなって。あれ、中に女連れ込んでんじゃなかったのお兄さん?ほら、続きはもういいの?」
「んだとてめぇ!!部外者は引っ込んでろ!!」
今にも殴りかかりそうなしんちゃん。
それなのに坂田さんはビビる素振りが一切ないし、むしろしんちゃんを完全にチワワ扱いしてる。
なんだろう、坂田さんのこの余裕。
この状況ってわりと深刻だよね?
なのになんでこんなにも心が軽いの?
待って、今の私すごく冷静だ。
さっきまで流れていた涙も気づけば止まっている。
「……しんちゃん、もうやめて」
心が落ち着いていた。
今この場において余裕がないのはしんちゃんただ1人。
冷静になると、言いたいことも全てまとまって話せた。
「やめて?!誰のせいでこうなったのか分かってんのかよ?!つかてめぇもいつまで掴んで────」
「シャラァアアアアアップ!!!!!」
「ぐっ!!」
あまりにも淡々としていて思わず感心してしまいそうだった。
坂田さんはほんの一瞬手を離したかと思ったらしんちゃんの首後ろに手を振りかざした。
その瞬間しんちゃんは意識を失い静かに地面に倒れ込んだ。
「……ふぅ、いやまじで悪りぃ。ちょっと鼓膜破れそうだったからつい。あ、あと数分すりゃ起きるから安心しろ」
坂田さんは普段ちゃらんぽらんな人だけど私たちはかなり侮っていたかもしれない。
坂田さんは私の人生において出会ったことの無いタイプだった。
冷静になった私は意識を失っているしんちゃんを見ながら坂田さんの袖を引っ張った。
「あの、この人このままで良いのでここから離れませんか?」
不思議だ。
心がとても軽い。
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凛 - とても良かったです!ゆっくりでもいいので更新待ってます! (2022年12月17日 17時) (レス) @page37 id: 0db889cc25 (このIDを非表示/違反報告)
のん@天使から墮天使(プロフ) - 瑠々亜さん» 返信、ありがとうございます!とういうことでしたか…なるほど。頑張ってください!応援してます! (2019年9月2日 20時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
瑠々亜(プロフ) - のん@天使から墮天使さん» コメントありがとうございます。ちゃん呼びはただの愛称なので深い意味はないです(><)更新頑張ります! (2019年9月2日 14時) (レス) id: d64c66c7f1 (このIDを非表示/違反報告)
瑠々亜(プロフ) - 亜水さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けてとても嬉しいです(><)更新頑張ります! (2019年9月2日 14時) (レス) id: d64c66c7f1 (このIDを非表示/違反報告)
のん@天使から墮天使(プロフ) - 最初自意識過剰かなと思ってしまったけど…読んでみて良い話!夢主はなんで恋人のことを[〜ちゃん]と呼んでたのか知りたい…。夢主、辛いだろうなぁ…僕は恋人なんぞ居ないから分からんが…別れてしまえ((酷い 銀さんとくっ付けぇぇぇ(( 更新頑張ってください! (2019年8月25日 22時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠々亜 | 作成日時:2019年8月17日 21時