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真選組で過ごす私は容姿的に女子力が高いとは言えないだろう。
正装を着こなし、女性らしさを感じさせない。
それに慣れてしまったせいで私服もほとんど無地の袴や着物で済ませていた。
これで化粧もしてなかったら本当に女として枯れてしまいそう。
それでも今の私を女でいさせてくれるのは多分セックスという行為のおかげ。
もちろんそれが自分の女としての価値も下げているのだけれど。
「わあ、こんなのもあるんだ」
人気の雑貨店はやはりすごかった。
デザインはどれも凝っていて、美的センスがない私でもその芸術性を感じ取れる。
店内で女の子たちが目を輝かせ釘付けになるのもわけない。
私だって今はその中の一員なんだから。
私はそっと店の外に目を向けた。
土方さんは店と向かい側の通路で一服中だった。
興味無いくせに気を利かせて馬鹿みたいだ。
しばらく店内を歩き回り私は店を出た。
手ぶらで帰って来た私を見て土方さんは訊ねる。
「何も買わなかったのか?」
「うん。可愛かったけどなんだか私にはそぐわなくて」
それに周りの純粋無垢なきらきらとした目が嫌だった。
彼女たちがうらやましい。
私はどうしてこんなにも空っぽな人間なんだろう。
私にはあの輝きがない。
「ごめんね、寄り道させてもらって。お茶買いに行こっか」
私が歩き出すと土方さんも後ろからついてくるように歩き出した。
先を歩く私には、土方さんが雑貨店を振り返っていたなんて知るよしもなかった。
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マヨネーズライダー(プロフ) - 何回も読み返してます。切ないですね。これからも読み続けます (2021年2月14日 1時) (レス) id: 01ab9bdc45 (このIDを非表示/違反報告)
えいたん(プロフ) - とても引き込まれる作品です!更新楽しみにしてます! (2019年8月21日 4時) (レス) id: 8f70e4d35f (このIDを非表示/違反報告)
ノイズ(プロフ) - 最高です!ハピエンでもバットエンドでも絶対面白いですね!更新あれば楽しみです! (2019年7月6日 18時) (レス) id: c4f6a2aaa5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠々亜 | 作成日時:2019年6月27日 0時