検索窓
今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:32,621 hit

16 ページ16

"純愛"って言葉を聞くとすごくイライラした。
どうして自分だけを生涯をかけて、ずっと好きでいてくれるなんて思えるの?
人の愛は簡単に変わる。

純粋な気持ちなんて一瞬で消え去る。
だから、"純愛"という言葉に浸ってる人を見ると本当に愚かしい。
かつての私がそうだったように。




「銀さんはさ……私を抱いている時なに考えてる?」




一通りの行為が終わり、私たちは同じ布団で寝ていた。
私は銀さんに背を向けていて、銀さんは天井を見上げている。
セックスが終わったあと、私たちが絡み合うことなんてないしその必要もない。

それなのに感想を求めているのはちょっと不気味かもね。
多分、これには意味なんてない。
私の心は空っぽで、何かで埋めたくて必死になっていた。




「今日はちょっとイクのがはえーなって思った」




「……今日の話じゃなくて」




「わーってるよ。冗談だっての」




銀さんは考えるようにうーん、と言葉を出して呻いた。
考えを絞り出しながらそれを伝える。




「セックスってやっぱ気持ちいいよなーとか、明日の夕飯どーすっかなーとか、案外くだらねぇことしか考えてねぇかも」




つまり銀さんと私は同じだ。
愛のないセックスについて抱くのなんて、その行為の罪悪感でも満足感でもない。

本当にただ欲求を満たして、日常のことを考えているだけ。
だからこそ私たちの関係は成り立っているんだと思う。

────────あの頃の私なら、絶対に考えられなかった。
彼以外の男に抱かれることも、愛のないセックスをすることも。



「ところで、こんなこと聞いてくるってことはなんかあったんだよな?」



「別にあるわけないでしょ…」



「ふーん。まあ俺たちはあくまで体だけの関係だし相談乗る義理もねぇけど」



銀さんは何を言うつもりなのかな。
私は寝返りうって銀さんに向き直った。
銀さんは頬杖をつきながら私を見つめていた。



「お前さ、もっと素直になりゃ良いんじゃね?意地張ってやけになってんだろ?」



銀さんと話すのは本当に嫌いだ。
銀さんは私のこと、あの人よりも見透かしている。
私はよくあの人のことを素直じゃないと言うけれど、それは私も同じだった。

17→←15



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (64 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
259人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

マヨネーズライダー(プロフ) - 何回も読み返してます。切ないですね。これからも読み続けます (2021年2月14日 1時) (レス) id: 01ab9bdc45 (このIDを非表示/違反報告)
えいたん(プロフ) - とても引き込まれる作品です!更新楽しみにしてます! (2019年8月21日 4時) (レス) id: 8f70e4d35f (このIDを非表示/違反報告)
ノイズ(プロフ) - 最高です!ハピエンでもバットエンドでも絶対面白いですね!更新あれば楽しみです! (2019年7月6日 18時) (レス) id: c4f6a2aaa5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:瑠々亜 | 作成日時:2019年6月27日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。