九十八 ページ23
A side
私は銀さんに全てを話す。
15年間の私の行い。
死んだと報道された私がなぜ、生きて彼に会えているのかを。
私は銀さんの手を握った。
そして、ぽつりぽつり話す。
貴「私は7年間、幕府の道具だった」
そこでの生活はまるで生き地獄。
私のせいで沢山の尊い命が奪われた。
貴「逃げ出したかった。でも奴らはお父さんを人質に取って...それを許さなかった」
挙句の果てに私は、父を殺された。
目の前でなぶり殺し。
貴「そして今度はそれだけじゃない。銀さんを殺すと脅してきたの」
父も殺され仲間を殺され...私はもう、最愛の人を失いたくなかった。
貴「それでも一度は逃げ出した。でも...助けてくれる人は誰一人いなくて......かつての仲間達は私を幕府へ売った」
握る手に力が籠る。
貴「見返りを求めていた訳じゃない。でも私は彼らを助けた。なのに私は簡単に売られた............再び幕府に戻されてから気づいたの。人助けは無意味なことだって」
────────そう思っていたのに。
私の頭には常に銀さんが思い浮かんでいた。
銀さんを思うとまたいつものような考えに戻ってしまう。
銀さんのお陰で私は......自我を保っていた。
貴「7年が経ったある日ね...春雨の第7師団団長、神威が私に手を差し伸べた。彼は私を殺したいと言ってきたの。だから私はそれに同意した」
銀「何言って────」
貴「でも私も条件を出した。私を殺すのなら、それまでにやらなくちゃいけないことがある。攘夷志士に紛れるスパイを殺す、あるいは父を殺した奴らへの復讐、仲間を護らなくちゃいけない」
それが終わったら殺されても良かった。
貴「その後、約5年間治療したの。神威に引き取られた時は立つことすらできない身体だったから」
使い物にならない雑巾。
それを神威は修復してくれた。
貴「そして3年間は今日までの計画、私の心を鬼にする特訓が始まった」
決心が鈍ることのないよう...たくさん、たくさん...
貴「全てを終わらせた時、私はもう殺人鬼。この世に生きる場所なんてない」
銀「.........それが、聖霊の剣ってことか?」
貴「そうだよ。神威は聖霊の剣として私を殺した。世間から聖霊の剣を消すことで......私に生きる未来をくれたの」
脳裏に浮かぶ神威の顔。
今にも泣き出しそうな顔で、彼はあの時言った。
───幸せになってね───
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アニオタ - シリーズ全部読みました。だんだん読んでいくうちに死ネタになっちゃうのかな?と思ったけど、ハッピーエンドでよかったです。 (2018年3月28日 17時) (レス) id: 47e23c8f52 (このIDを非表示/違反報告)
紗夜 - このお話のシリーズ全部見ました!号泣しましたよ!!!全ての作品!!銀さん!!マジ惚れるわ!! (2017年4月3日 22時) (レス) id: 0f811305e6 (このIDを非表示/違反報告)
愛華 - 素敵な物語でした!泣けました! (2017年3月3日 20時) (レス) id: baef787b6f (このIDを非表示/違反報告)
瑠々亜(プロフ) - 架鈴さん» 温かいお言葉ありがとうございます(´;ω;`)完結することが出来て良かったです。次作の神威ルートは今のところ順調なので頑張ります^^ (2016年3月25日 14時) (レス) id: 70d378d6ee (このIDを非表示/違反報告)
架鈴 - な、泣けた・・・!素敵なお話でしたね!!次回作も読みます! (2016年3月24日 14時) (レス) id: 265e5c2a64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠々亜 | 作成日時:2016年3月18日 18時