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「【異能力 油すまし】」
【油すまし】耳が良く、山彦(幽谷響)をさせる妖怪。
油すましの能力を使い、周囲の音を聴き分ける石燕。
「！国木田さん！あの船です！」
石燕が指差した船はとても大きいものだった。
「！あれか！」
「敦君達が近くにいます！」
あそこです。と言い、敦達を指差す石燕。
「「敦ィ‼/敦君!」」
二人揃って声を荒げながら名を呼ぶ。すると、数秒後に船が大爆発した。
「んなッ！」
「国木田さんっ、これ以上近づいてはいけません！」
「ッ、敦！沈むぞ来い！」
そう国木田が言えばまた爆発する。それに紛れて走って来た敦。
「敦君！此処です！」
「爆発の所為でこれ以上近付けん！跳べ！」
石燕達が呼びかけても迷った表情で跳ばない敦。
「何をしている阿呆が！船が沈むぞ！」
「…」
国木田の怒号が飛ぶ。しかし、それでも来ない敦。
「この怒阿呆！どれだけ社に迷惑を掛ける気だ！
社員全員只働きだぞ！早く乗れ！」
「彼女は____」
「あの娘は諦めろ！」
国木田のその言葉に反応する石燕と敦。
「(あぁ、この世は理不尽ですね…。)」
善人ほど死んで行き、世間で言うクズは生き残る世界。何回も見てきた石燕。
「(でも、どうしてでしょう…
_____こんな世界が美しいと思ってしまうのは…)」
理不尽な世界に立ち向かう人々。石燕にとってそんな世界は綺麗だった。
「彼女は____
僕と食べたクレープを『美味しかった』と、
無価値な人間には呼吸する権利も無いと云われて____彼女は『そうかもしれないと』！」
泣きながら大声で言う敦。
「僕は……違うと思う!だって、太宰さんは____ ��探偵社��は僕を見捨てなかった!」
そう言う敦の表情は決意に満ちていた。
「僕____行ってきます！」
「行ってきなさい！敦君！」
「おい！」
石燕と敦に喝をいれようとしたがやめる国木田。
「走れ敦‼」
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作者名：楓 | 作成日時：2021年2月28日 20時
