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わかっていたはずなのに。
ぎゅ、と握った自分の手が、彼女とは違って虚無しか掴んでいなくても。
私にはこれがお似合いだ、と。
頬を流れ落ちる涙を拭うこともせずに、
言い聞かせて目を閉じた──────
＊
「……ったく。見せつけてくれるわよね、あんた達……」
「いやいや、誤解だって。これはだな……」
微睡みの向こうから声がする。
まだ眠くて目が開かないのに、意識だけが覚醒する、不思議な感覚。
とりあえず身じろぎをしようとしたのに、なぜだか動けない。
その間にも、誰かの会話は進んでいく。
「あー、失敗したな……。先に起きとくつもりだったのに」
「“しない”って選択肢がない時点で十分に見せつけてんのよチクショウ」
「な、なんか怖いぞ……？？」
だんだんと雲行きが怪しくなっている会話はさておき、目が開かない。
そこで不意に昨夜は泣きつかれて眠ってしまったことを思い出した。
どうりで……とウンザリしつつ、とりあえず手を動かしてベッドロールを掴もうとして───
「───────A」
何かおかしい、誰かに握られてるみたいだ。
と自分の両手に違和感を覚えるのと、
耳元でとんでもなく優しい声がしたのはほぼ同時だった。
「起きてくれ、A。朝だぞ」
「………っ？」
より近く囁かれる声。
に、さすがに異常事態を悟って無理矢理目を抉じ開けると。
なぜか、焦点が合わないほど至近距離にキリトの顔があって──────
「……………………〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜！！？」
「っとと。おはよう」
思わず声にならない悲鳴を上げて飛び起き……ようとしてキリトに手を握られていたのでそれも出来ず、慌てた様子もなくのんびり解放されてから超速でベッドロールを抜け出て。
「…………な、なな、なん………っ」
「あー。よく寝たなぁ」
「いやいや、説明してあげなさいよ……」
「んー？」
伸びをし終わったキリトがこちらを向く。
私はいまだ数々の疑問が言葉にならなくて口をパクパクさせている。
言葉にならない無数の疑問が頭のなかをノンストップでぐるぐる回って、
(なんでキリトに手を握られて寝てたの、しかもあんな至近距離で寝顔を見られて、っていうか昨日は確かキリトはリズベットの手を握って………)
だから私は、二人に背を向けて、縮こまるようにして眠ったのだ。その筈だ。
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moeka(プロフ) - 最近更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しいです。待ってます。 (2020年12月16日 20時) (
レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶 - 15-4〜16-7までの流れが、主人公の葛藤と矛盾が鮮明に描かれていて心に刺さりました。この作品面白いので更新頑張ってください。応援させていただきます。 (2018年11月14日 20時) (レス) id: 10e431e9a6 (このIDを非表示/違反報告)
夢巫女 - シリアス大好きです。この二人がこのあとどうなるのか気になります。更新お忙しいと思いますが、頑張ってください。楽しみにしてます。 (2018年11月6日 21時) (レス) id: 6cc7262479 (このIDを非表示/違反報告)
コトノハ - この作品、私のどストライクな作品です！！もう更新してくれないのでしょうか？続き楽しみに待ってます！ (2018年10月28日 14時) (レス) id: 611c145fdc (このIDを非表示/違反報告)
Kizuna(プロフ) - アリスさん、コメントありがとうございます！！！ヘ(≧▽≦ヘ)♪ そう言って頂けるととても嬉しいです…！前回更新からだいぶ長いこと時間があいてしまいましたが、またちょこちょこ書いていきますので、よろしくお願いします(*≧∀≦*) (2018年1月19日 14時) (レス) id: 62524f433b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kizuna | 作成日時：2017年4月9日 16時
