雪の華【煉獄杏寿郎】

千寿郎 ページ17

次の日。


杏寿郎は約束通りに私の元へ訪れた



ただ、夜ではなく昼に。




「A！来たぞ！開けてくれ」



椅子に座って本を読んでいると、ベランダの硝子の引き戸の向こうで杏寿郎が張り付くようにこちらを見ているで吃驚した。



急いで引き戸を開けてベランダへ出ると昨日と同じ服を着た杏寿郎が立っていた



「えっと……昨日ぶりだね。
また夜に来るのかと思ってた」



「日中の方がまだ気温が高いからな！夜は冷えて身体に良くないだろう！」


「そっか…そうだね」


何故か杏寿郎はこのベランダへ外から来ることができるから、部屋から出られない私でも昼に会うことが出来る。

母親達は昼は出掛けている事が多いしバレることもないだろう


昨日ぶりとはいえまだ慣れてなくて緊張する。


「……」


二人の間に沈黙が流れる


チラッと目線を上にやり、杏寿郎の顔を見ると彼もこちらを見ていた


橙色と蜂蜜色の瞳と視線が合う



杏寿郎の瞳は不思議だ。



じっと見つめていると吸い込まれそうな気がする

普段はどこを見ているのかいまいち分からないのに、

一度目が合うと離せない


「…っ」


何か言わないとずっとこのままな気がして、口を開いた。


「ねえ…」


「なんだ！？」


「友達…ってどんなことするの？」


「む！」



昨日の夜から晴れてこの煉獄杏寿郎くんと"友達"という関係になれたわけだが、
年齢＝友達いない歴と同じ私は、いざ友達が出来ても何をすればいいか分からない

なので恐らくそういうことに関しては先輩であろう彼に聞くことにした。


目の前の杏寿郎を見ると笑顔のまま固まっていた。



……あれ？



杏寿郎と話していてわかってきた事は、

杏寿郎は考える時も笑顔で固まる事。
それもどこを見ているのか分からない笑顔で固まる。


じっと見つめていると


五秒ほど経ってから


わからん！


と清い笑顔で告げてきた。


「わ、わからないの……」



「俺の友は剣技の繋がりが多いからな！一緒に鍛錬をしたりするがAはしないだろう！
女子の友達は初めてだからどのようしたら良いかわからない！
うーむ弟となら遊ぶが…」


女の子の友達、私が初めてなんだ…

その事実に、何故か嬉しいと感じた

杏寿郎は明るいから誰とでも友達になれそうだけれど、そんな暇無いほど腰に付けている刀で日々鍛錬しているのかな



「杏寿郎、弟いるの？」


「ああ！いるぞ！名は千寿郎だ！」

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