雪の華【煉獄杏寿郎】

これから ページ18

弟の事について聞くと優しい笑顔で答える杏寿郎を見て仲がいいんだな、って思った


私は妹に気味悪がられているし話した事すら片手で数える程だから、羨ましい



「へえ…千寿郎くんっていうんだね
兄弟は二人だけ？他にもいたりする？」



「いや、兄弟は俺と千寿郎だけだ！家族は父上と母上が……」


「？
杏寿郎どうしたの？」


質問に答えようとしてくれていた杏寿郎がいきなりまたあの"考えてる顔"になった


すっかり口を閉じて笑顔のままどこかを凝視してる


いや、どこでいきなり考え事する部分あったんだろうか



「わかったぞA！！！」



「え」


何が？

目の前の杏寿郎はどこか嬉しそうだ



「俺は君のことが知りたい！」



「私のこと……？」



「そうだ！友達になったからにはAの事をもっと知りたい！俺はまだAの名前しか知らないからな！
俺がこうして君に話しているように、俺にも君のことを教えてほしい」



私のことを知りたい………



そんな風に言われたのは初めてで、どうしたらいいか困惑した


何を言ったらいいのか、

自分には話すことなんてあるだろうか、

私のことなんて面白くないのでは……


自分は杏寿郎に好きなだけ質問をしているのに、いざ自分がとなると不安な事ばかり浮かんだ。


そしてそんな考えと共に、


誰かに求められるという初めての経験に少し心が擽ったくなった




「心配するな。少しずつで良いし、君が話せる範囲でいい。俺はAの話なら何でも聞きたい！
これからゆっくりお互いのことを知っていこう！」



「う、うん…っ」


杏寿郎の力強い言葉に思わず頷いた


杏寿郎は、人の事をよく見ていると思う


私が夜しか外に出られないことを話した時とか、私が泣いた時、そして今も

私の心の内を察して言葉を掛けたり、接してくれる。


私はその度に安心して、暗い心が明るくなる


これからが楽しみだな！と言って笑った杏寿郎の笑顔は夜よりずっと眩しかった

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