きっと、貴方 ページ32
「ドレス素敵だね、Aに似合ってるよ」
そう告げる治の耳が少し赤かった気がした。聞こうとしたけど、その後すぐに行こうかと促されてホールの真ん中へ移動した。
演奏隊が音楽を奏で、それに合わせて私達は足を運ぶ。治は、もう流石って感じだ。さり気なくリードもしてくれて、とても踊りやすい。私は小さな声で話しかけた。
『挨拶の時、凄い緊張してたの…』
「そうだと思ったよ。でも、無事にできてよかったじゃないか」
『治のおかげだよ。顔見たら安心したの』
「…今日の君、いつもより積極的じゃないかい?」
『そうかな…ドレスせいかもね』
人間は着飾ることで自身が湧くと聞いたことがある。一回転すると、ドレスがフワッと持ち上がった。
朝から気が重かったけど、なんとか乗り越えられそうだ。
『今日は本当に治に助けられてる』
「一段と綺麗な君にそんなこと言われたら、私でも照れてしまうよ」
『………あのね、今日の舞踏会は、私の婿探しの意味もあるんだ。』
「…まぁ、そうだよね」
「君の婿候補が勢揃いだし」と言って、治は腰に置く手に力を込めた気がした。
そうだ。他の王子とも話したけど、どなたもどこか打ち解けられていない感じがした。決して悪い人たちではないのだけど…。
そんな中、治は違う。奇想天外なことをする時もたまにあるけど、彼といるのは純粋に楽しい。それに、私を好きだと言い続けてくれている。
……その気持ちに、今まで私の心が惹かれていなかったと言えば、嘘になる。だから、きっと…。
考えを巡らしながら、目を伏せて続ける。
『…私、今日思ったんだけど、』
「何だい?」
『…………候補の中なら、きっと、治を選ぶと思う…。』
あぁ、言ってしまった。
瞬間、治の動きが止まった。でもその後はまたすぐに動き出す。どうしたのかと思って見上げると、今までにみたことのないほど赤面した彼がいた。
「…え、A、それは…ど…、」
『………治だったら、いいかなって』
「…っ、ずるいよA、今言うなんて」
「公衆の前で、キスできないじゃないか」
愚痴をこぼしながらも、治はとても嬉しそうに笑っていた。その顔を見て、心が温まる。
もしかしたら、この人となら海を守り続ける他にも国を支える道を見つけられるかも知れないと、無意識のうちに考えていた。
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした!
89人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヨモギ雲(プロフ) - チョコさん» こんにちは、コメントありがとうございます!4期見ています!出番が少ないながらも、相変わらず中也さんかっこいいですね…!✨ (2023年3月30日 23時) (レス) id: 8cd691db0d (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - この話し面白くて見てます!そういえば、文スト4期始まっていますよ!! (2023年3月21日 13時) (レス) @page25 id: d38db6c248 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - こちらこそ返事ありがとうございます。作者様のペースで大丈夫です。今後も期待しています! (2021年6月29日 18時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ雲(プロフ) - ユエさん» コメントありがとうございます!ダラダラ更新で本当に申し訳ないです(汗)頑張ります! 7月からでしたっけ…?一期がまた見られるらしいですね、楽しみです! (2021年6月29日 0時) (レス) id: 4c88579f44 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - いつも楽しませてもらってます。そういえば文ストの再放送がやるみたいですよ。 (2021年6月28日 7時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ヨモギ雲 | 作成日時:2021年1月22日 13時