40話 ページ10
｢Aち顔色悪いよ？どうしたの？｣
｢確かに、冷や汗も…大丈夫ですか？｣
クララとアスモデウスがAを心配する言葉をかける。
｢えっ嘘私そんなに顔色悪い…？｣
｢女性に言うのは失礼な言葉ですが、とても色白く辛そうです。…何かありましたか？｣
｢まじか〜〜…ごめんね、大丈夫大丈夫｣
生徒にこう言われるなんてだいぶ酷いのだろう。
心配をさせたくなくて、気丈に振る舞うが顔の悪さは変えることは出来ない。
クララがAのお腹に抱きつき、下から心配そうに顔を覗き込む。
その目には心配という気持ちが滲み出ていて、申し訳なくなりクララの頭を撫でた。
｢何か嫌なことがありました？｣
｢もしかしてエギーちゃんに何かされた？！｣
入間が恐る恐る聞いてきて、クララが思いついたように大声をあげる。
突然でてきたカルエゴの名前に、Aの身体は反応してしまった。
｢やっぱりエギーちゃんが原因！！｣
｢カルエゴ卿になにかされたんですか？！｣
｢わ〜違う違う！｣
そう訂正の声を上げても、クララはエギーちゃんに聞いてくる！と走り出そうとするし、アスモデウスは考えるようなポーズをとり、入間はこちらを心配そうに見つめている。
この場面で、こう思うのは検討ハズレだとは分かっているがAはここまで生徒に心配をされ少し嬉しく思っていた。
担任を持ったことが無いAは、持ち前の明るさで生徒たちとは仲は良かったが近しい関係でもない。
先生というのはこういう仕事なのだと実感する
｢やーほんとに大丈夫だよ。カルエゴとちょっと喧嘩みたいなことしちゃっただけだから｣
｢カルエゴ先生とA先生が喧嘩…｣
｢全く想像が出来ませんね…｣
｢Aち怒った？｣
｢ちょっとだけ怒っちゃった｣
そう言うと、そっかーと何故か嬉しそうなクララの顔。
ふと時間を見ると、そろそろ教室に居なければならない時間であった。
｢入間くん、アスモデウスくん、クララちゃん。教室に行こうか。遅れちゃう｣
｢あっ時間！｣
｢入間様、急ぎましょう！｣
｢Aちも早く！｣
クララがAの腕を引っ張り走り出す。それに合わせて入間とアスモデウスが駆け出した。
｢ありがとうね、3人とも｣
｢？｣
｢ふふ、なんでもないよ。ほら、早く走らないと｣
不思議そうなクララに笑いかけて、Aも足を急いだ。
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作者名：野崎 | 作成日時：2020年1月31日 4時
