39話 ページ9
外を見ると、オペラがレッドカーペットを敷き入間の道を作っているところであった。
誰もがAの笑い声を予想したが、Aは一切笑うことはなかった。
「もう話は終わり?変な空気にしてすみません。失礼します」
トーンを変えずにそう言い放ち、職員室を出ていった。
話は終わった。それで終わる筈だったが職員室には未だにカルエゴが滞在しているのだ。
雰囲気が良くなるわけないだろう。
「ふいっ、魔茶でも淹れましょう」
「おっそれはいいね。カルエゴくんも飲んで落ち着いた方がいいよ」
スージーが提案し、ダリがそれに乗る。
ぽんっとカルエゴの肩を叩き、ね?と促すダリ。
職員室の雰囲気を悪くしたのは重々分かっていたのだろう。珍しく、カルエゴも素直に聞き入れた。
_____
廊下を歩きながら、Aは1人反省していた。
カルエゴは多分心配をしてくれていたのだ。というか、確実に心配をしてくれた上での台詞だろう。
Aが使役するバジリスクは強力であるが故に諸刃の剣であるのだ。
そのせいで、Aは昔使い魔召喚の儀の時に不慮の事故を起してしまった
当時、召喚の儀に滞在していた新人教師を石化させ殺したのだ。
Aが凡人であるが故に。
アガリアレプトの血筋だけに反応し、召喚に応じてくれたバジリスクを制御する術など凡人のAにある筈がなかったのだ。
見ただけで石化するバジリスクを当時位階無しのAがどう制御できるか。
出来るはずないのだ。バジリスクは、歩く天災と言っても過言では無いのだから。
今でこそ制御できるようにはなったが、完全ではない。特定の悪魔にだけ石化をかけることは出来ない為、他に悪魔がいれば使うことが出来ない。
それに加え、残酷なまでの強い毒は息を吸うだけでAの身体を蝕む。
バジリスクの契約は1年。解約すればいいと言う声を何度も聞いた。だけど、Aは解約することは無かった。
Aは先生を自分が殺してしまったという事実から逃げることは出来なかったのだ
「…謝んないとだよなあ…」
全部、自分勝手な行動でここまで来たのだ。
これに関してAがカルエゴに怒れる筋合いは無い
「A先生?」
「っわぁびっくりした!!入間くんか」
そこには、不思議そうに、そして心配顔の入間と、アスモデウス、クララが立っていた
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作者名:野崎 | 作成日時:2020年1月31日 4時