人間を愛しすぎた喰種は優しすぎました【東京喰種&黒バス】【続編】

■８９■ ページ39

亜門サイド

死ぬ？この喰種が？

前までピンピンしていた、黒美蝶が？


金「A」


そうか、こいつはAというのか。

いい名前だ。

Aは、そっと微笑む。

まるで、天使のようだった。


『だから、自分を恨まないで。誰かを憎まないで。

皆、お互い好きになって。

好きになるのは、とてもいいことなんだ。

一緒にいるだけで幸せになれる。

嫌いになるとその人の不幸ばかりを望んでしまう。

辛くなると思う。だから………』


Aの声が、薄れていく。

その笑顔も、もう見れなくなるのだろうか。

そのなんのくすみも無い、純白の笑顔を。


鈴「イヤです！！！！！！」


クインケを持った鈴屋が、Aの方へ向かう。

クインケの刃を、Aの首へ突き立てる。


鈴「何勝手に死のうとしてるんですか？
あなたを殺すのは僕ですよ？僕なんですよ？ねえ」

『・・・・・』


Aの手が、鈴屋の頬に触れる。

雨ではない何かが、鈴屋の頬をぬらしていた。


鈴「(なら今、いっそのこと僕がこいつを！！！)」


鈴屋がクインケを大きく振りかざす。

Aは、笑った。


金「なにしてっ__店「金木君」・・・・」


あんていくの店長は、横に首を振った。

金木と呼ばれる眼帯の喰種は、それを見て俯いた。

と同時に、金属が落ちる音がした。

見ると鈴屋はクインケを捨て、大きく泣いていた。


鈴「っいやですよぉ・・・ひっく、死なないで！」

『・・・・・』


ごめんね。そう聞こえた気がした。

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