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■62■ ページ12

トーカサイド

ウタさんが泣いた。

ウタさんが泣くの、初めて見た。

いや、泣いているウタさんの背中を見ている、の方が正しいだろうか。

その大きな背中を眺めていると、何故か、Aと重なった。


ウ「っごめんな、さ・・・」


Aがいないなら探せばいい。

なのになんでウタさんはこんなに自分を責めているんだろう。

こんなに情に厚い人だったろうか。

いや、人じゃないけど。


ト「とりあえず、Aを探せばいいだろ」


選択肢は、それだけだと思う。


ト「みんなで探しましょう、ウタさん」

ウ「・・・・・」


ウタさんは、何も言わなかった。

ただただ、すすり泣く声だけが耳に残る。


錦「行くんなら行くぞ、とろとろすんな」


クソニシキが、ウタさんの肩を叩く。

ウタさんは驚きに口を開けている。

サングラスで見えないが、きっと目も見開いているだろう。


錦「・・・・・」


ニシキは、さっさと店を出て行った。

すると皆も、クソニシキに続いた。

カネキとヒナミ、月山、カヤさん、古間さん、店長と、ウタさんの肩を軽く叩き、店を出る。

そして、私も。

叩いたときにチラリと見えた、ウタさんの顔。

とても、とても安心したような優しい顔だった。

私は出た後に、一度振り向いた。

ヨモさんがウタさんの肩に手を置き、何かを言っていた。

内容は、私にも聞こえなかった。


ヨ「_________。_______、_____。」

ウ「っ!・・・・っっ!」


ヨモの言葉が終わると同時に、ウタさんはまた泣き出した。

でも、Aを探さないといけないんでしょ?

そう思い、私はそっと手を差し出す。


ト「行きますよ」

錦「ガキみたいにビービー泣くなよ、ったく」


((ピキッ


ト「私の後に喋んじゃねえよクソニシキ」

錦「黙れクソトーカ。お前は一生喋んな」

ト「クソニシキは黙って馬のクソでも食っとけ」


そんな口喧嘩に、カネキと古間さんがまあまあと入った。

仕方なくやめたが、思いっきり睨んでおいた。


ウ「・・・ありがとう」


咄嗟のウタさんの声に、私達はウタさんを見る。

ウタさんのサングラスの奥の目は、笑っていた。


ウ「行こっか」


ああ、よかった。

何故よかったのは、私にも分からなかった。

でも、何か、進んだような気がした。

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ちーかま - 完結してからたくさんの時が経っているので、作者様はこのコメントを見ることはないかもしれませんが、本当に、お疲れさまでした。私が裏ツクで今まで見た中で、一番好きな作品です。長文失礼しました。 (2018年12月16日 8時) (レス) id: 8f9925b559 (このIDを非表示/違反報告)
ちーかま - 最期ガチ泣きしました。涙でもう画面が見えなくて、眼鏡かけてるから眼鏡にも涙付いて......本当に良いお話でした。黒バスも東京喰種も大好きな漫画だったので、題名に引かれて読み始めてみたら、まさかこんなに良い話だとは思わなくて、運命かと思いました。 (2018年12月16日 8時) (レス) id: 8f9925b559 (このIDを非表示/違反報告)
reona0521(プロフ) - 本当に泣いてしまいました。自分を殺してまで皆を守ろうとする夢主に感動しました。これからも頑張ってください。 (2018年1月29日 21時) (レス) id: 4091e15341 (このIDを非表示/違反報告)
- 人間の裏を考えさせられるとても良い話でした。でも一つ意見させて頂きます。なんか最後が中途半端ですかね…東京喰種メンバーは良い感じに終われたけどキセキの世代がなんだかあんなに暴れておいて最後だけ善人ぽっくなるってのがなんだか…。でも面白かったです!!! (2017年12月13日 1時) (レス) id: 309625f9b6 (このIDを非表示/違反報告)
さくら式どろっぷ。 - 人間同士もこうあるべきだと考えさせられる物語で、見つけてよかった。゜(゜´Д`゜)゜。 (2017年8月25日 1時) (レス) id: e732fea85c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユノハ@kurokuro★ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/bluerose/  
作成日時:2014年11月12日 7時

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