＃4 好きときす ページ6
◈真緒side◈
紫月「あ、明かりが…」
紫月は混乱してソファから立ち上がろうとする。
真緒「下手に動かない方がいいって！まだ目も慣れてないし、怪我するか…も…」
紫月の腕を掴んで気づく。
手は冷たくて、少し震えていた。
真緒「(雷苦手なのか…)大丈夫だから、な？」
俺は紫月の頭を撫でて、抱き寄せた。
紫月「…まお、く…」
真緒「これなら怖くないか？」
紫月「…うん。」
紫月は俺の裾を握って顔を埋めた。
真緒「しりとりでもするか？面白い話でもいいぞ。」
紫月「…面白い、話…」
真緒「分かった。あれは確かレッスンの時で……」
俺が楽しい話をすると、強ばっていた紫月も肩の力が抜けて少しだけ笑ってくれた。
しばらく話していると、やっと部屋の明かりがつく。
真緒「あ、明かり戻ったな……紫月？」
一旦離れると…紫月は横髪で顔を隠そうと、目を合わせてくれなかった。
真緒「(紫月の、恥ずかしい時の癖…)」
紫月「…あ、りがと…もう、大丈夫だから…」
紫月は頬も耳も赤くして。
俺も、抱きしめた時の柔らかい感触を思い出して今更意識してしまう。
ふと紫月の頬に触れると、紫月はくすぐったそうに目を閉じた。
真緒「(今…すごく、キスしたい…でも、)」
紫月「…あ、」
俺が離そうとした手を、紫月は咄嗟に掴んで止めた。
紫月「また、我慢した…」
真緒「え？我慢って、俺は別に…」
紫月は首を振って、じっと見つめられる。
もしかして…。
真緒「…ごめん、ちゃんと全部言うよ。」
紫月「ほんと…？」
真緒「うん。なんか…紫月が俺のことちゃんと見てくれてて、嬉しい。」
俺が紫月の癖を知っているように、紫月も俺のことをよく見てる。
なんだ…もっと早く言えばよかった。
好き同士なんだから。
真緒「紫月が嫌だったらいいんだけど…」
紫月「うん。」
真緒「…キスしたい。」
それを聞いた紫月は驚いて、しばらく黙った後…。
俺の手を頬に添えて目を閉じた。
それは”いいよ”ということなんだとすぐに分かった。
真緒「(…うわ、なんだこれ…めちゃくちゃ心臓うるさいし、緊張する…)」
意を決した俺は、紫月の唇にそっと触れた。
紫月「……。」
真緒「……。」
目を開けた紫月は俺と視線を合わせる。
まだ残った感触がお互いの顔を赤く染めた。
真緒「…紫月、顔真っ赤。」
紫月「…人のこと、言えない。」
真緒「あはは、だよな〜。」
…でも、すごく幸せだと思った。
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作者名：紫鶴 | 作成日時：2021年8月4日 15時
