＃20 一歩手前 ページ22
◈真緒side◈
真緒「先に言っておくんだけど……
やっぱり俺、前より欲張りになったよな」
紫月「…？」
真緒「紫月といると、その……触れたくなるっていうか」
付き合い始めた頃はハグだけでよかったのに。
紫月「…私は、この痕も…初めて知った…」
真緒「初めて知ったって…。もしかして……調べた？」
紫月「う、ん……少しだけ」
真緒「(ま、真面目…！けどそこが可愛い…！！)」
何をどこまで調べたんだろ…。
紫月「…知った後も、変わらなかった。
こういうこと……嫌じゃない、と思う」
真緒「……っ」
紫月を大事にしたい気持ちと、
先に進みたい気持ちが同じくらい膨らんでいく。
真緒「…紫月。抱きしめてもいいか？」
紫月「…うん」
紫月の柔らかい体温と、
どこか甘い匂いが心地よくて安心する。
真緒「…嫌だったら、すぐ言っていいからな」
紫月「…分かった」
鼓動が速くなっていくのが分かる。
好きだって伝えたくて、
紫月の頬に、鼻先にキスをした。
真緒「…口開けて」
紫月「え？……っ、ん…！」
逃がさないように紫月を抱き寄せる。
絡ませた舌から水音と紫月の声が漏れた。
真緒「(…うわ、これやばいかも…)」
紫月「んっ……ぅ…」
一度離すと、紫月は少し苦しそうに息をした。
真緒「ごめん…！息苦しかったよな…」
紫月「へ、平気……」
息を整えると、またゆっくりと唇を重ねる。
紫月の潤んだ瞳も、声も、
その全部が頭をくらくらさせる。
熱い。気持ちいい。何も考えられなくなる。
……でも、これ以上は……。
真緒「紫月…」
紫月「…？」
紫月の肩に顔を埋める。
真緒「…また今度、ちゃんと予定立てるから」
紫月「え、と……？」
真緒「ほら、その……準備もしてないし。
次の日も休みの方がいいと思うし…」
なんとか火照った身体と鼓動を落ち着かせる。
やっぱりちゃんと準備してから、この先に進みたい。
紫月「準備……」
真緒「(ピンと来てなさそう…)」
紫月「…じゃあ、おやすみ…？」
真緒「ん、おやすみ。明日は俺が朝飯作ろっか」
ベッドのすぐ隣下にある敷布団に降りると、
紫月に服を掴まれた。
真緒「紫月？」
紫月「あ……そ、そっち……行ってもいい…？」
真緒「え、」
その言葉の意味を理解するのは簡単だった。
真緒「いい、けど……ベッドじゃなくていいのか？」
紫月は頷いて、横になるとすぐに寝てしまう。
そんな紫月の髪を撫でて、俺も目を閉じた。
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作者名：紫鶴 | 作成日時：2021年8月4日 15時
