涙のアスターⅡ【あんスタ】 (ページ17)

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＃15　君の誕生日ページ17

◈真緒side◈

7月も終わりそうな頃。
俺はひとり、不審なくらいソワソワしていた。

ずっと待ち望んでいた8月、紫月の誕生日。

去年は誕生日当日に知って、
特訓やら花火やらで言葉でしか祝えなかった。

真緒「(今年こそは、ちゃんと祝いたい)」

それにこの日は、俺にとっても大切な日で
今でも鮮明に覚えている。

初めて見た紫月の笑顔。
俺が、紫月を好きになった日…。

真緒「(プレゼント何にしようか…)」

あんずとはパーティの計画を進めているけど、
肝心のプレゼントはなかなか決まらない。

とにかく色々見て回ろうと、
休みの日に商店街をぶらつく。

真緒「(紫月、欲しいものとか言わないしなぁ…)」

これといって欲しいものがないんだろう。

去年のクリスマス前にも、
桃李に何が欲しいか聞かれた時…。

『…気持ちだけでいい。ありがと』

紫月はそう言って、
遠慮とかじゃなく本当に無欲なんだと思った。

それでも俺は何かプレゼントしたいし、
笑って喜んでほしい。

…全部、俺のわがままだけど。

真緒「(毎日使える日用品、
雑貨系、あとは仕事で使える文房具とか…)」

いろんなお店を回って見ても、
これだ！っていうものがなかなか見つからない。

そんな時だった。

真緒「(…ん？あれは……)」

ぱっと目に止まって、
ショーウィンドウの前で立ち止まる。

女の子向けの可愛いアクセサリーが並ぶ中、
ふと紫月の顔が頭に浮かんだ。

真緒「(あのチョーカー、紫月に似合いそう)」

一際目を奪われたのは、シンプルな黒いチョーカー。
想像しただけでも絶対に似合うと思った。

真緒「(付けたところ見てみたい、けど…)」

スマホ画面の、検索の結果を見て落胆する。

「チョーカー、プレゼントの意味は『束縛』」

真緒「(お、重すぎる…！さすがにこれはダメか…)」

でも、せっかく自分で見つけたプレゼント。

どうしても諦められない俺は、
お店に足を踏み入れた。

「プレゼントですか？よければラッピングしますよ」

真緒「あ、お願いします…！」

店員のニヤニヤした顔に照れながらも、
無事にプレゼントを用意することができた。

あとはあんずに頼まれていた
パーティに使う小物を買い足す。

真緒「(当日、楽しみだな〜)」

目標は、紫月にとって最高の思い出になること。
そして何より笑顔にさせること。

過去に悲しんだ分だけ、
たくさん幸せになってほしい。

紫月が笑顔になれる時間が、
少しでも長く続いてほしいと思った。