＃11 プロポーズの言葉 ページ13
◈真緒side◈
真緒「ほ、本気のプロポーズ！？」
紫月「…うん、考えてみてほしい」
紫月の表情は真剣で、
冗談じゃないことは分かっていた。
どうしてこうなったのかは…説明すると長くなる。
ある日、俺と高峯は部活の帰りに偶然
本屋に入る紫月を見かけて後を追いかけた。
そこで、紫月が結婚情報誌を
手に取っているところを見てしまう。
真緒「ほ、ほら！紫月も女の子だし、
ドレスとか憧れてたりするんじゃないか？」
翠「でも、本当にあの本買いましたよ…。
というか先輩！いつの間に月城先輩にプロポー…」
真緒「し、してない！まだしてないから！！」
翠「それじゃあもしかして……
月城先輩がプロポーズしようとしてる…？」
そんな憶測で大騒ぎになった挙句、
月永先輩たちも巻き込んで本人に直撃してみれば…。
真緒「……だ、だから、結婚はまだ早いというか
いや将来はそうなったらいいなとは思ってるけど！」
紫月「……ごめん、何の話？」
真緒「……へ？」
そこで全てが勘違いだったことが分かった。
紫月は次のイベントのために
結婚情報誌を見て企画を練っていただけ。
イベントのテーマは結婚式。
勘違いして恥ずかしくて悶えている間に、
俺もそのイベントに参加することになっていた。
そして話は最初に戻ってくる。
紫月「新曲とMVの他に、式場の宣伝もするの。
そこで1人ずつプロポーズする姿を撮りたい」
台本なしの本気のプロポーズ。
鳴上も助っ人に呼んで、
それぞれ考えることになったのはいいけど…。
英智「いきなり考えるのも難しいし、
親睦を深めるためにも恋バナしようよ」
真緒「こ、恋バナ！？」
英智「みんなの初恋とか聞きたいなぁ。
はい、じゃあ真緒から♪」
真緒「絶対楽しんでる……えぇっと、俺は……」
こんな修学旅行の夜みたいなノリで
恋バナなんてしたことがなくて、少し照れる。
真緒「よ、幼稚園の頃に
近所の公園で出会った女の子…です」
英智「へぇ、僕はてっきり彼女かと思ったよ」
真緒「(間違いではない…)」
でもそうだ、本気のプロポーズをするなら
その相手を…紫月のことを考えてみよう。
鳴上が言っていた。
結婚は幸せだけじゃない、これから先の不安もある。
もし俺が、紫月にプロポーズするなら…。
真緒「(幸せも不安も、ふたりで分け合いたい。
手を繋いで……ずっと傍にいるって約束する)」
紫月への気持ちを少しずつまとめて、
俺は本番に向けて練習をはじめた。
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作者名：紫鶴 | 作成日時：2021年8月4日 15時
