黒子の短編集(仮)

この腕は優しく掴まれて 木吉鉄平 ページ19

コンコン、控え目にノックをする。
「どーぞ。」
中からおじいさんの声がする。
(いないのかな？いないなら置いとけばいっか。)
「失礼します。」
扉を開けると。
「寝てる。」
鉄平はすやすやと心地よさそうに寝ていた。
「お嬢さん、鉄平くんになんかようかい？」
「はい、お見舞いに来たんですけど、寝てますね。」
「お見舞いかぁ、彼女さんかい？」
「そんな、彼女なんて、違いますよ。」
私はそう言いながら鉄平のベッドのサイドテーブルに持ってきた植木鉢を置いた。咲いているのはスノードロップ。

それからおじいさんと世間話をした。
けれど鉄平はずっと寝ていた。
「それじゃ、また来ますね。」
「またおいで、さようなら。」
私は病室を後にする。
鉄平、早く元気になってね。

コンコン、控え目なノック。
「どーぞ。」
聞こえてきたのは紛れもない鉄平の声だった。
「鉄平、久しぶり。」
「Aじゃないか、久しぶり。」
「あら、A。」
「あ、名字。」
「あ、リコ、日向くん。」
ドアを開けるとリコや、日向くんもいた。
「鉄平、お花持ってきたよ。」
「おぉ、ありがとうな。」
「スノードロップで良かったかな？私この花好きなんだ。」
そう言ってこの前のスノードロップと入れ替える。
植木鉢を置いた。
「鉄平、体の調子は？」
「Aはオレに死んで欲しいか？」
「何言ってんの？そんなわけないじゃん。」
「じゃあ、これはもらえない。」
私はそれを拒絶されたのだと思った。
「スノードロップ嫌いならそう言えばいいじゃん、鉄平のバカ!」
サイドテーブルの植木鉢を割ろうとしたら、この腕は優しく掴まれて。

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木吉鉄平くん夢でした。
今回は歪んだ恋１０題でも結構軽い感じになりました、多分←
ちなみにスノードロップは贈り物にするとあなたのﾀﾋを望みますって意味になるので気おつけてください。
多分木吉はこの事に気づいたけどAちゃんは花言葉が希望、それしか知らなくてすれ違ったのが今回のお話ですかね？←
あと今回のオチはスノードロップの植木鉢の中です←
お題提供「確かに恋だった」様から

笑わなくなった恋人 黄瀬涼太→←注意(必読) 五月晴れ★

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