虎視眈々【 青/桃 】

29.仰せのままに ページ34

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「...あはは、行っちゃいましたね 。それにしても！
良くできました、A先輩！」



膝から崩れ落ちた私にしゃがんでそう声をかけた彼


"やれば出来るじゃないですか〜"


なんて笑い頭を撫でるその異常な態度に震えは止まらない
まま 。



...怖い

可愛らしい笑顔も、今はまるで悪魔みたいだ



「...イカれてる」


「ふふ 。知ってます 。それに、僕なんかまだまだ
普通ですよ」


「あなたの何が普通なの」



どう見ても狂ってるじゃない


ぐ、と睨み付けると彼はおかしそうに笑った



「あははっ！本当に先輩って面白いですね 。」


「どこが...？私、さっきから面白いことなんて
一つも言ってないんだけど」


「えー？」



"そうですねぇ"


彼は意味ありげに微笑むと途端に表情を失くし



私の頬をぐぃっとつねった








「身近に一番イカれた奴がいるのに、気付かない
馬鹿なところ...とか？」




「...え？」







「あはは、酷い顔 。」



再び表情をころりと変え頬から手を離す彼
を半ば放心状態で見つめる



どういうこと...？

身近に一番イカれた奴って...




「そんな顔、しないでくださいよ 。...あれ、さとみくん
が来ちゃいましたね」


「...！」



振り返ると此方に走ってくるさとみ先輩の姿が 。



「あーあ、なんだか厄介になりそうです 。面倒なので
僕はこれで失礼しますねー」



面倒臭そうに顔をしかめれば颯爽と走り出す彼



「え、ちょっと」


「それでは、また明日〜！」



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