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うちの団長様は戦うこと以外興味がない夜兎の本能の塊。色恋沙汰といった存在こそ知れど踏み入った事は一度としてなかった。
(最初は誰しも知らず知らず間違えて覚えていくもんだが…)
団長の場合周りがフォローしてやらねえと好いてる奴を手に掛けかねない。一歩間違えりゃ変な性癖が生まれちまう。そして否が応でも巻き込まれるのが俺達だ。
「団長、嬢ちゃんは胃が弱い」
「うん。ノミみたいだよね」
「そんな嬢ちゃんを無理矢理連れ戻してみろ、その場で胃に穴空いて最悪血ィ吐くぞ」
「……。 何が言いたいの?」
食べ終えた肉の骨を投げ捨てる様に皿の上へ戻す団長から明らかに機嫌の悪さが伺える。
「アイツに戻って来られると不都合でもあるのかい。
それとも、阿伏兎が逃げる手引きしたとか? お前他の奴らより懐かれてたもんね」
「はぁ…変な勘ぐりはやめろ」
「じゃあ何」
切り出したはいいが、どう自覚させるか。
多少なりとも団長が嬢ちゃんを構う時間が増えて俺の苦労が減っていたのは確かだからな。連れ戻すのに反対はしねえ。
掛け持ちの案件がある中 探す手間が増えたのは勘弁してもらいたい所だが致し方ないと割り切れる。だが問題はその後だ。
「逃げたって事は今の環境に不満があるからだろ。
それを解決してやらねェ限り今迄通り接してくるかも分かりゃしないぜ」
「不満? そもそも帰りたがってただろ、
「その話は今置いとけ。
…でだ、団長。俺が思うに嬢ちゃんは自分が団長の何なのか不安になったんじゃねえかと思う」
「…不安?」
「団長に好かれてないと思った嬢ちゃんは地球に行った。つまり団長と自分の関係をハッキリさせりゃ戻ってくる」
…無理にこじつけ過ぎたか?
無言の団長に冷や汗が止まらない。
正直な所 嬢ちゃんがどんな心境で出ていったか知らねェ。団長に嫌気をさした可能性だって捨てきれない。
だがここで正してやらねえと団長が女を拘束して歩く自由すら奪うような妙な癖がついちまう。それだけは何とか阻止しねえと後々俺達に面倒事が降りかかる。
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おいも(プロフ) - 紫姫さん» 最後までお読みくださりありがとうございます🐰💓 トリップにも理由があるのかも、と考えた末辿り着いた場所がちょっとしたホラーになってしまいました((🙊)) 不完全燃焼気味のラストでしたが少しでも楽しめていただけていたら幸いです🙇 (2021年9月21日 20時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
紫姫(プロフ) - まさかの結末でごっさ驚きました!!そして少し怖かったです(笑) (2021年9月19日 18時) (レス) id: eab8838b37 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - カビキラーさん» 最後までお読みくださりありがとうございます(*´ω`) 以前から少し変わったお話を書いてみたかったので驚いてもらえて嬉しいです(∩´∀`)∩ トリップは色んなENDになれる楽しさがあるのでこの後二人が結ばれる世界線もあるかもです…! (2020年2月17日 20時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
カビキラー - 神威と結ばれるのかなと思ってたのでオチで驚きました!軽く怖っ!って思いました笑 (2020年2月13日 19時) (レス) id: edf3a1c316 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - 氷華さん» わー!ありがとうございます…! 二人にはまた巡り会ってもらいたいので、もし続編を書く機会があればハッピーエンドにしてみたいです!(´ω`)! (2019年12月26日 19時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいも | 作成日時:2019年10月16日 19時