苦労兎と無自覚兎少年 ページ9
(side 阿伏兎)
嬢ちゃんの失踪から二週間が経つ。
「や、阿伏兎。頼んでた"あれ"は順調？」
「順調もクソもあるか。
砂漠にばら撒かれた米粒探すくらい時間はかかる、と単独任務から帰ってきた団長に皮肉を込める。
嬢ちゃんが地球に居ると分かった途端前にも増して急かしてきやがってこのすっとこどっこいが。組織の功績にもならない団長個人の案件だ。美味い酒でも用意されにゃ割に合わねェ。
「誰かご飯持ってきて〜」
団長は任務先で激しい戦闘になったのか体中血塗れ。
相手さんの返り血なのは聞かずともわかるがその格好で
「団長。先に風呂にでも入ってきたらどうだ」
「後で入るよ。
それより今はお腹空いて死にそうなんだ」
「……」
嬢ちゃんが居るときは必ず先に血ィ流してただろうが。
自由奔放な癖に何だかんだ嬢ちゃんに気を使っていたようで近頃意外な一面に驚くばかりだ。
まぁしかし、それ以外変わった所はない。
あとはいつも通りの我らの団長様。人使いが荒く、八つ当たりする時は近くにいる団員が犠牲になる。
「なぁ、嬢ちゃんを連れ戻してどうするつもりだ？」
「どうするも何も──…」
「…どうした？」
「……」
言いかけて、不自然に団長は言葉を切った。
次々運ばれてくる料理達を前にしても手を出さず、何か考え込んでいる。
「二度とバカな考えを起こさないように手足縛って閉じ込めておこうかと思ったんだけどさ。師弟揃って女一人にやる事が同じとは笑えてくるね。まっ、鳳仙の旦那とは違うけど」
団長はそう言うと肉を両手に掴み、口いっぱいに頬張った。
俺には旦那も団長も同じように映るが当の本人は似て非なるものだと思い込みたいようだ。
俺達外野から見りゃ好いた女にフラレて探してるようにしか見えないが、団長には嬢ちゃんを好いてる自覚は薄い。薄いどころか気付いてすらいないのだろう。
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おいも(プロフ) - 紫姫さん» 最後までお読みくださりありがとうございます🐰💓 トリップにも理由があるのかも、と考えた末辿り着いた場所がちょっとしたホラーになってしまいました((🙊)) 不完全燃焼気味のラストでしたが少しでも楽しめていただけていたら幸いです🙇 (2021年9月21日 20時) (
レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
紫姫(プロフ) - まさかの結末でごっさ驚きました！！そして少し怖かったです(笑) (2021年9月19日 18時) (レス) id: eab8838b37 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - カビキラーさん» 最後までお読みくださりありがとうございます(*´ω`) 以前から少し変わったお話を書いてみたかったので驚いてもらえて嬉しいです(∩´∀`)∩ トリップは色んなENDになれる楽しさがあるのでこの後二人が結ばれる世界線もあるかもです…！ (2020年2月17日 20時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
カビキラー - 神威と結ばれるのかなと思ってたのでオチで驚きました！軽く怖っ！って思いました笑 (2020年2月13日 19時) (レス) id: edf3a1c316 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - 氷華さん» わー！ありがとうございます…！ 二人にはまた巡り会ってもらいたいので、もし続編を書く機会があればハッピーエンドにしてみたいです！(´ω`)！ (2019年12月26日 19時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おいも | 作成日時：2019年10月16日 19時
