▼ ページ21
嫌いかどうか。ピンとこない辺りそこまでいっていない気がする。怖いと思うことはあったけれどそれがイコール嫌いに繋がるかと言えばそうとは言い切れず。
いつものなら「なんて恐ろしい質問するんですか…!」とツッコミを入れているのに今はどうしてか曖昧な答えしか出てこない。
「す、好きか嫌いかの二択なら好きな方だとは思います。…多分」
「……」
「無言はやめてください…!」
「いや、悪い。
──まァ 嫌いじゃねえってことなら大丈夫か」
" ちゃんとケリつけろよ、団長。 "
…立ち上がり振り向きざまに私以外の誰かに向けて言われたその言葉。団長といえば一人しかいない。
私は一目散に部屋に戻ろうと屋根の軒先に手を掛けた。
「どこ行くのさ。ほら、おすわり」
「んゔ……! お、お、おしり割れ…!」
「安心しなよ。元から二つに割れてるから」
飛び降りようとしたその瞬間後ろから頭を押さえつけられ、強制的に座らされてしまった。
阿伏兎さん、阿伏兎さん。どうして神威さんと一緒にいらしてること教えてくれなかったんですか…!
「後は若いモン同士仲良くしてくださいよ」
「あああっ、私は阿伏兎さんと仲良くしたいです…!」
「俺じゃ不満?」
「いえ、ほら、団長さんと私は前から仲良しなので阿伏兎さんと親睦を深めようと…!」
「ふぅん…そっか。仲良しなんだ俺達」
屋根を飛び降りた阿伏兎さんを引き留めようと手を伸ばすも間に合ずに空を切る。入れ替わりで隣に神威さんが座りポツリと呟いた。
「 "仲良し" なのにどうして逃げたりしたの」
「…………これには海よりも深いワケが」
動物的本能なんです。命の危険を感じたら逃げろっておばあちゃんも言ってました。あと失業は嫌です。
「…挨拶もなしに突然いなくなってすみません」
「あれ? 悪いとは思ってたんだ。
俺はてっきり悪びれてないもんだと思ってたよ」
小姑顔負けのネチネチさを披露されて相当怒っているのが伺え知れる。
艦にいた時でさえここまで言われたことは滅多にない。
「で、戻る気にはなった?」
「私一人戻ってもお役に立てないと思うのですが…」
「役立つから傍に置いてたつもりだったんだけど」
いや、待ってください。後半置いてないですよね。
外食やお泊まりしまくってましたよね。
矛盾していることを言われて胸の辺りがモヤリと違和感が残る。 神威さんの飄々とした振る舞いを見ていたくなくて膝を抱えるように足を曲げて顔をうずくめた。
123人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おいも(プロフ) - 紫姫さん» 最後までお読みくださりありがとうございます🐰💓 トリップにも理由があるのかも、と考えた末辿り着いた場所がちょっとしたホラーになってしまいました((🙊)) 不完全燃焼気味のラストでしたが少しでも楽しめていただけていたら幸いです🙇 (2021年9月21日 20時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
紫姫(プロフ) - まさかの結末でごっさ驚きました!!そして少し怖かったです(笑) (2021年9月19日 18時) (レス) id: eab8838b37 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - カビキラーさん» 最後までお読みくださりありがとうございます(*´ω`) 以前から少し変わったお話を書いてみたかったので驚いてもらえて嬉しいです(∩´∀`)∩ トリップは色んなENDになれる楽しさがあるのでこの後二人が結ばれる世界線もあるかもです…! (2020年2月17日 20時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
カビキラー - 神威と結ばれるのかなと思ってたのでオチで驚きました!軽く怖っ!って思いました笑 (2020年2月13日 19時) (レス) id: edf3a1c316 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - 氷華さん» わー!ありがとうございます…! 二人にはまた巡り会ってもらいたいので、もし続編を書く機会があればハッピーエンドにしてみたいです!(´ω`)! (2019年12月26日 19時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おいも | 作成日時:2019年10月16日 19時