複雑少女と妹子兎 ページ12
空が淡い赤黄色に染まった時刻。
今日のお夕飯は何にしようかと冷蔵庫の中を覗きに立ち上がる。
万事屋さんで仮住まい生活が始まってからひと月が過ぎたのもあり、今や勝手知ったる他人の家。
最初こそ慣れない様子だった銀さんも私が台所に向かったのを知るや「あ〜、腹減った」と遠回しにご飯の催促をしてくるようにまでなった。
「………。」
冷蔵庫中を見て腕を組む。うーん、この、…うーん。 圧倒的にお肉が足りていない感じはマズイ…!
野菜とお魚はあるから何とか誤魔化していきたい。
「神楽ちゃん、今日の夜ご飯お魚でもいい?」
「白ひげ蓄えたジジイの肉がいいアル!」
「あっ、こら! カーネルおじさんに怒られちゃうからそんな言い方したらダメ! 口の悪い子はカーネルさんに夜な夜な道頓堀に捨てられちゃいますよ!」
「やめてくんない? カーネルおじさん馬鹿にすんのやめてくんない?? カーネルおじさん怒らせたら依頼来なくなるから! あと銀さんはクラッシュしてるチョコ味でお願いします!」
「えっ、都市伝説信じてるんですか坂田さん」
世界が違えど 某チキン店の都市伝説は共通らしい。
そんな話よりもケン●ッキー…!
買い物に行くのを回避したかったけど、たまには外食も良いかもしれない。 神楽ちゃんの食べる量を考えるとお財布的に大打撃だれけども。でも、喜ぶその笑顔、プライスレス。
銀さんは一緒に行ってくれなさそうだったので神楽ちゃんに「買い物のお手伝いいいかな?」とお願いしてみる。
「もちろんネ! あんな毛玉放ってさっさと行くアル!カーネルが待ってるヨ!」
二つ返事で誘いに乗ってくれた神楽ちゃんは「はやくはやく!」と玄関で傘を広げて待っていた。
行動の速さに笑いながら後を追う。
「坂田さん、行ってきますー」
「いってくるネ」
「おう。ぼちぼち暗くなっから寄り道せず帰って来いよ」
ソファーで寛ぐ銀さんに見送られて万事屋の階段を降りていくと、降りた先でお登勢さんが煙草をふかせて空を見上げていた。私達に気付くと口から白い煙を太陽が沈みかけた薄暗い空へゆっくりと吐き出した。
「おや、何処か行くのかい」
「はい、これからちょっとご飯を買いに行こうかと」
「ジジイの肉アル」
「は? ジジイ?…それはいいけど、気をつけなよ。近頃変な奴が彷徨いてるそうだからねェ」
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おいも(プロフ) - 紫姫さん» 最後までお読みくださりありがとうございます🐰💓 トリップにも理由があるのかも、と考えた末辿り着いた場所がちょっとしたホラーになってしまいました((🙊)) 不完全燃焼気味のラストでしたが少しでも楽しめていただけていたら幸いです🙇 (2021年9月21日 20時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
紫姫(プロフ) - まさかの結末でごっさ驚きました!!そして少し怖かったです(笑) (2021年9月19日 18時) (レス) id: eab8838b37 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - カビキラーさん» 最後までお読みくださりありがとうございます(*´ω`) 以前から少し変わったお話を書いてみたかったので驚いてもらえて嬉しいです(∩´∀`)∩ トリップは色んなENDになれる楽しさがあるのでこの後二人が結ばれる世界線もあるかもです…! (2020年2月17日 20時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
カビキラー - 神威と結ばれるのかなと思ってたのでオチで驚きました!軽く怖っ!って思いました笑 (2020年2月13日 19時) (レス) id: edf3a1c316 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - 氷華さん» わー!ありがとうございます…! 二人にはまた巡り会ってもらいたいので、もし続編を書く機会があればハッピーエンドにしてみたいです!(´ω`)! (2019年12月26日 19時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいも | 作成日時:2019年10月16日 19時