お迎え少女と酔っぱらい兎 ページ46
今日は、朝から慌ただしかった。
春雨全体で会議がある日だったようで、時間になっても中々起きてこない神威さんを阿伏兎さんが起こしに行き、艦内に怒声が響き渡っていた。
無理矢理起こされた事に加えて寝坊し朝食を抜いた神威さんはすこぶる機嫌が悪く、私を見るや頭のアンテナを揺らして「俺まだ食べてないんだけど」と睨みつけてくる姿を思い出す。八つ当たりは止してほしい。
「…遅ェな団長達。
嬢ちゃん、ちょっくら迎え行ってきてくれねえか?」
「私に死ねと仰るんですか…!」
「ほれ、これ貸してやるから」
宇宙時計の短い針が0時を回ろうとしているのを見て帰りの遅い神威さん達を不憫に思ったのか、団員さんが黒い服と傘を投げて渡してきた。
広げてみると私が着てもおかしくないサイズの団服。
傘と合わせれば夜兎族っぽく見えて襲われないとか思っているんですか、その手には乗りませんからね。
さくせん いのちだいじに! 因みに私はダンジョン入る前にがっつりレベル上げするタイプです!
「すごい…! 戦闘力上がった気がします、6くらい!」
「おっ、コロポックルみたいだな」
「コロポックル」
流れで着てしまった。
…実はちょっと憧れてたんです、団服。
コスプレしているみたいでテンションが上がる。
傘も広げてくるくる手の中で遊ばせていたら、北の大地にいるとされる小人に例えられたのは聞かなかったことにしておく。
「もし襲われそうになったら柄の部分押しゃァ先端から弾が出る」
「弾」
「反動で嬢ちゃんブッ飛ぶかもな。撃つときは踏ん張れ」
「なるほど、わかりました! 一緒に来てください!」
私、これから戦場にでも行くのだろうか。
もしかして迎えというのはただの名目でこれを機にあの小娘を始末してやる! ってことでは。アイツいつも帰りたがってるからな、騒がしくてたまらねぇ…解放してやるよ…今世からな!ってことでは。
「一人は嫌です!良い子にするので付いてきてください! お"願゛い゛じま"ずー!!」
やだやだ!と子供みたいに駄々をこねる。
「むさ苦しい野郎よりもお気に入りの女に迎え来てもらった方が団長も喜ぶぜ」
「えっ、可愛い女の子? 照れちゃいます!」
「否 そこまで言ってない」
「上げて落とさないでください」
女の子は意外と単純な生き物なんです。
褒められればランランスキップしてお迎えだって行っちゃいますからね。そう大袈裟に言えば、面倒くせェと返された。
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おいも(プロフ) - いるあさん» ああありがとうございます…!!勿体無いお言葉に飛び跳ねてしまいました(´ω`)今なら木にも登れそうです!(∩´∀`)∩! (2019年10月12日 12時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
いるあ(プロフ) - とても面白いです、評価が少ないのが不思議なくらいです (2019年10月9日 7時) (レス) id: 12f9a783cd (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - あまいろさん» !!! お読みいただけただけでも嬉しいのにコメントまで…!ありがとうございます!5度見くらいしてしまいました(´ `*)続けて楽しんでもらえるよう精進します!L(´ω`)」! (2019年9月29日 18時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
あまいろ(プロフ) - とても面白いです!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2019年9月29日 13時) (レス) id: 441f1e9f18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいも | 作成日時:2019年4月5日 21時