▼ ページ29
「待った」
「ッブハア！ だ、だだだ団長サン…！」
「ナイスタイミング。来て」
「ギャー！ 阿伏兎さん助け……！」
あん時 喋んなきゃバレなかっただろうに。
団長は嬢ちゃんが離れたことに気付くと素早く腕を掴み、引き寄せた。やめてやれ団長、今にも死にそうな顔してるぞ。
パーティ会場でエスコートする紳士のような立ち振るまいで嬢ちゃんの腰へ手を回すと団員達の元へ戻っていった。整った顔立ちとその行動は釣り合っているが
「A、俺の事好き？」
「えっ。 ……え？」
突然 突拍子もない事を訊き始め、団長以外の此処にいる奴等はみんな「何を言い出してんだ」と思っていることだろう。
訊かれた当の本人も眉間に皺を刻み、どう反応していいものか悩ましげに視線を寄こしてくる。悪い、おじさんにもわからねェ。
「…アンタもあの女と同じなの？」
「！？」
「…おい、団長まさか」
ゲームキャラに言われたことを気にしてたのか？
…そういやァ、罵倒されてたな。
団長が自分を小馬鹿にした団員達の前で何を言わせたいのか理解した。だが、来たばかりの嬢ちゃんは意図を読み切れず、険しい顔つきで団長を見返している。
「……」
「……」
「まさか
「嫌いじゃないです！嫌じゃないです！！
わ、わーい！団長さん大好きです！」
空気を読みやがった。 が、嬢ちゃん下手すぎやしねェか。後半棒読みになってるぞ。
「そうかそうか、それはよかった」
冷や汗を流しまくってる嬢ちゃんを気にする様子はなく、ご満悦気味の団長はそのまま嬢ちゃんを後ろから抱き寄せた。
すっぽり団長の腕の中に収まった嬢ちゃんは腹を押さえている。ありゃ間違いなく胃だ。
「お前たちもそんなゲームばっかりやってないで早く現実の女落としなよ」
「いや団長 見てみろよ、真っ青だ。
嬢ちゃんの顔色やべーことになってんぞ。青緑だ」
「
「私地球人です……」
遠い目をした嬢ちゃんは今にも死にそうな声を絞り出した。また嬢ちゃんが医務室に引き篭もりでもしたら爺さんにどやされちまう。そろそろ助けてやるかと団長の隣に並ぶ。
俺より幾分か低い団長を見下ろし、労りを込めて嬢ちゃんの頭に手を置く。
「団長、そろそろ離してやれ」
「えー」
「嬢ちゃんの胃が死ぬ」
「そんな軟弱な胃ならいっそ新しいのに変える？」
「なんて恐ろしいこと言い出すんですか…！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 82人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おいも(プロフ) - いるあさん» ああありがとうございます…！！勿体無いお言葉に飛び跳ねてしまいました(´ω`)今なら木にも登れそうです！(∩´∀`)∩！ (2019年10月12日 12時) (
レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
いるあ(プロフ) - とても面白いです、評価が少ないのが不思議なくらいです (2019年10月9日 7時) (レス) id: 12f9a783cd (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - あまいろさん» ！！！ お読みいただけただけでも嬉しいのにコメントまで…！ありがとうございます！5度見くらいしてしまいました(´ `*)続けて楽しんでもらえるよう精進します！L(´ω`)」！ (2019年9月29日 18時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
あまいろ(プロフ) - とても面白いです！これからも更新頑張ってください！楽しみにしてます！ (2019年9月29日 13時) (レス) id: 441f1e9f18 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おいも | 作成日時：2019年4月5日 21時
