ショコラ

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結局終電まで続いた飲み会。
会社の近くで行われたということもあって、

普段電車通勤の私にとっては
帰る場所がなくて一大事。



“一緒に帰りましょ。”



北山くんにそう言われて、
春が近づいてきた今でも
まだ肌寒いこんな時間帯に、
二人でふらふら歩いてる。






「·······あの、ありがとう。」


「え？なにが？」




さっき、みんながいる前では言えなかったけど、
本当に助かった。知らないふりしないで。
北山くんは優しいって知ってるよ？




「・・・お酒。
あれ、ウーロン茶だよね？」



「あ〜、よく気づきましたね。」



「気づくよ······、」




なんであなたはそんなに
私の気持ちを掴んでくるのかな。
ちょっと優しすぎるんじゃない？





「で、Aさん、俺に言うことは？」



「····え？ありがとう？」



「違う違う。」



何かを求められて、
深々とお辞儀をしてみるも
また違うって首を横に振るだけ。







·





「帰るところがないので
北山くんの家に泊めてください。

・・・・でしょ？」





じっと私を見つめる彼の瞳に、
吸い込まれそうになるほど
私は今、胸の奥がざわざわした。




「·····どうしたの？」




ようやく北山くんの言葉を
頭の中で理解して、
言葉もでなくなった私に
また心配に顔を覗き込むの、本当にやめてほしい。






「·······何言ってるの？」


「帰るところないんじゃないの？」


「タクシーとか·······、」


「お金かかるじゃん。」




なんど言っても宥められて終わって、
気がつけば北山くんの家に向かってた。



ほんと、私バカなのかも。
いくら後輩だといえ、
男性の家にノコノコとついて行くなんて、
私本当に終わってる・・・・





「お風呂入る？」




家に着いた瞬間、

慣れたように発するその言葉は
北山くんに似合いすぎていて、
思わず後ずさりしてしまう。




「····え？なんで逃げるの。」




北山くん、知ってる？

北山くんね、社内では
女殺しって言われてるんだよ。

そういう誘い方で
何回女性を口説いてきたの？

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